半田市教育委員会賞
「星座が完成した日」

半田市立乙川中学校 3年

服部 睦

廊下ですれ違う去年のクラスメート達。笑顔で手をふる君も、無口で通り過ぎていく君も、去年のことを覚えているかな。一緒に舞台に立ったあの日を、まだ覚えていてくれるのかな…。

私にとっての忘れられない宝ものは、去年の合唱コンクールだ。なぜならば、それまでばらばらだったクラスが始めて一つになってみんなで一つの目標を目指した日だからだ。

去年のクラスの級訓は、「星座」。クラス全員が一人一人輝いて、みんなでまとまって一つの大きな星座を作ろう。そしてそれは、一人でも欠けたら完成しないものだ。これがその意味だった。しかし私たちは、なかなか級訓のように一つにまとまることができなかった。私は、このままこのクラスを終わりたくない、一度でいいから、クラスみんなで「星座」を完成させて、楽しい思い出を作りたい…と、何度も思った。しかし、そんな私もどうしたらいいのか分からず、ついにそのクラスで過ごせる時間は半分終わってしまっていた。そんなときに訪れた、クラスがまとまる最後のチャンスが合唱コンクールだった。

コンクールまでの約二か月間、私たちは一生懸命に練習をした。それは決して簡単なことではなかった。何度もけんかして、仲間割れした。先生に怒られてばかりいた。もうあきらめよう、と思うことさえあった。それでも、私たちはがんばれた。仲間がいたからだ。お互いに励まし、応援し、教え、高め合う、大切な仲間。私はそれに気づいた時から、少しずつでも「星座」が完成に近づいていることを感じた。しかし、完全ではなかった。コンクール当日まできちんと歌わない人がいたのだ。私は本当に心配していた。

私たち「星座」は、本番の舞台の上でついに完成した。初めは緊張していた私たちも、だんだんいつも通りに歌えるようになった頃だった。私は横目で、最後の練習までふざけていてきちんと歌わなかった男子たちを見た。すると、なんと、みんながんばって歌っている。口を動かしているだけかもしれない。本番だから当たり前なのかもしれない。でも、その姿に少なくとも私は感動した。今、全員で一つの歌を歌っているんだ!そう思うと本当にうれしくて、幸せだった。結果は目標には届かなかったが、私はそれ以上の思い出をもらった。「星座」の完成。それは忘れられない、大切な思い出となったのだ。

廊下ですれ違う大切な仲間達。手をふり返しながら、横を通り過ぎながら、私はあの日を思い出す。そして心で呼びかけた。君もあの日を覚えているだろう。あれから「星座」は一つずつ旅立った。私も、君も。でも、あの日のことはずっと忘れないでね。私もきっと、忘れない。…いつかまた、みんなで会えたとき、一つ一つの星が、あの日のまま、ずっと輝き続けていますように。