半田市生涯学習推進協議会賞
「一瞬の出来事で」

美浜町立野間中学校 3年

神谷 麻友

「みんなは、目の前に困っている人がいたらどうする。」
これはある日、塾の先生が言った一言でした。私にとってそれは、自分自身の考えを変えるきっかけとなった質問でした。

先生はその質問を一番前に座っている子に
「あなたならどうする。」
と聞きました。その子は少し困った顔をしました。そして
「声をかけてみて、自分で助けてあげれそうだったら手を貸します。」
とそっと言いました。私もその考えだったので、先生がその行動にどんなコメントをするのか不安でした。すると先生は
「えらいなあ。じゃあ、自分からさっと実行することができるかな」
とまた質問をつけくわえました。その子も私も答えることができませんでした。他のまわりの子も同じ考えをもっている様子でした。それを察した先生は最近、自分が体験した出来事を話し始めました。

ある日、先生は満員電車に乗りました。ちょうど通勤する時間帯でたくさんの人がいて身動きが出来ませんでした。しかし、ふと気がつくと一ヶ所だけ人がいないスペースがありました。先生は疑問に思い、近づいていきました。すると真ん中でうずくまっている女性がいました。女性は妊娠していました。この満員電車で気分が悪くなり、もどしてしまったようでした。だから、まわりの人は少し距離をあけている・・・そんな状態だったそうです。

先生は
「助けたかったけど、すぐに動くことが出来なかった」
と言いました。車内が静まりかえったそうです。するとその時、一人の若い男性が自分のタオルでまわりをふき、女性に声をかけたのです。女性はとても安心した様子でした。それを見て先生は、「とてもかっこよかった。自分からさっと行動した男性の姿は輝いていた」と思ったそうです。そして次の駅で男性は降りていきました。すると先生はその女性に声をかけたそうです。そのとき、とてもすっきりした気持ちになって、気持ちよかったそうです。女性は電車を降りるとき、 「ありがとうございました」 と何回も言い、先生も嬉しくなった・・・そんな一瞬の出来事でした。

私は、それを聞いて「もし私自身がその場面にいたら」と考えました。きっと何も出来なかったと思います。あの男性のすばらしさを改めて感じ、憧れました。

この話で、私は一つのことを決めました。「ほんの少しの勇気で人を助けることが出来るなら、私は勇気をだす!」心の中でそう強く決めました。少しの勇気から、きっと何かにつながるものがあると思います。それを信じて、たくさんのことにチャレンジしていきたいです。そして将来は、人の役に立てるような仕事に就きたいです。