半田市教育委員会賞
「生きる目標」

半田市立青山中学校 2年

橋本 彩乃

この夏休み私は高浜市のかわら美術館で開さいされている「やなせたかしの世界展」を見に行きました。

代表作はアニメ「アンパンマン」です。私も小さいころはアンパンマンが大好きでよくテレビで見ました。アンパンマンのおもちゃやタオルも持っていました。オープニングテーマの「アンパンマンのマーチ」は今でも歌えます。お母さんに聞くと、小さいころはアンパンマンと言えずに「アパマン!アパマン!」と言ってはしゃいでいたそうです。

今回の展示会を見て、やなせさんの世界にはただ単に子供向けアニメ以上のメッセージが含まれていることを知りました。

やなせさんは九十三歳の現役クリエーターとして今も活躍されていますが、大正八年生まれのやなせさんは、第二次世界大戦で兵士として戦われ、また、弟さんは特攻隊として突撃し亡くなっています。悲しくて苦しいことばかりだった戦争。戦地だけでなく、ひもじさから沢山の子供たちが亡くなりました。

やなせさんも戦地でとてもひもじい思いをしたそうです。だから「食べものが向こうからやって来てくれたらいいのに」と本気で思っていたといいます。そんな思いから、のちに食べ物を主人公にした物語を思いつきました。やなせさん自身あんぱんが大好きだったことも「アンパンマン」が生まれるきっかけになりました。

そして「正義とは決してカッコイイものではなく、おなかを減らしている人に自分の身体を傷つけてでも、食べものを与えること。命が危なくなっても困っている人を助けることが一番大切。」というメッセージを伝えるためにアンパンマンが生まれたのです。

昨年東日本大震災が起きた時、やなせさんはこんなメッセージを発表しています。

「アンパンマンは史上最弱のヒーローだが、いざという時には自分の顔を食べてもらい、そして戦う。それは私たちも同じ。」そしてラジオから流れたアンパンマンマーチは子供たちに笑顔を取り戻し、たくさんの人を勇気づけました。

歌詞の一部「なんのために生まれて、なにをして生きるのか、こたえられないなんて、そんなのはいやだ」は今回の展示会でもやなせさん直筆の詩として展示されていました。

学校へ行って、授業を受けて、部活をする日々。当たり前に思える毎日ですが、私はお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、友達、先生など、たくさんの人に囲まれています。そういった人たちが実は私にとってのアンパンマンなんだ!と思いました。いつも助けてもらってばかりの私ですが、誰かのアンパンマンでもあれたらいいな、と思います。そしていつか「何のために生まれて、何をして生きるのか」という目標にたどり着けるよう、頑張っていきたいです。