日本福祉大学学長賞
「身近な自然」

半田市立成岩中学校 1年

三浦 裕玖

私が通っている半田市立成岩中学校の校歌には、伊勢湾、白山、神戸川が出てきます。校歌は入学式で初めて聞きましたが、そのとき美しい成岩の風景が頭の中に浮かびました。私は成岩で生まれて育ちましたが、実は、校歌の中に出てくるこの三つの場所を、これまで特に気にしたことがありませんでした。そこで、この夏休みにそれぞれの場所を見てまわりました。

初めに伊勢湾を見ることにしました。しかし、成岩に海があるという感じがしなかったので祖父に聞くと、何十年か前には成岩浜という場所があったといっていました。ハゼやセイゴ、ボラといったいろいろな魚が釣れたり、潮干狩りでアサリを採ったりしたそうです。祖父に教えてもらった場所に行くと、古い水門と最近できたばかりの道路を支える大きな橋けたがありました。また、コンクリートの堤防が作られていて、あまりキレイと感じることはできませんでした。

次は白山です。成岩地区の北西に白山神社という神社がありますので、たぶんその辺りのことだと考え、行ってみました。境内にある御由諸には、むかし、白山を信仰する村の開拓者がいつもこの山上にやって来て、やがてこの神社を作ったとのことです。ここで、山上という言葉に少し驚きました。市街地からは少々登った場所にありますが、この辺りは山という感じはしませんでした。しかし、神社の境内を進むと、町並みの中にあることを忘れてしまいそうな森がありました。昔の人々の感覚からすれば、この白山は大切な山であり鎮守の杜であったに違いないと感じました。成岩には、他に任坊山という場所があり、そこにも森が残されている数少ない自然を守っていかなくてはいけないと強く感じました。

最後に、神戸川にそって歩いてみました。この川は、かつての成岩浜に注いでいる成岩でただひとつの川です。中流から下流では何匹ものコイが泳いでいました。近くに住む人に聞いてみると、上流にはメダカもいるとのことでした。神戸川が、多くの魚が住む川であることを発見してとてもうれしくなりました。板山地区までさかのぼると、「とりもどそうすてきな神戸川」の掲示を見ました。この辺りの人達が神戸川を大切にしていることを強く感じました。神戸川は、昔から洪水被害が多く発生してきたため、川岸はコンクリートで固められていますが、石や草の自然な川岸に変わっていって欲しいと思いました。

小さな旅でしたが、自分の住む地域を、今までとは違った新しい目で見ることで環境への考え方が自分の中で少しずつ変わってきました。これまで、環境問題といえばすぐに日本や地球のことに関心が向いていましたが、本当に身近な環境についても、もっと考えて行かなくてはならないと思いました。