特別賞
「人と人とのつながり」

美浜町立河和中学校 2年

木下 由唯

ある日の下校時の出来事です。いつものように、友達二人と一緒に自転車で帰宅途中、一人の友達の自転車のチェーンが外れてしまいました。三人でチェーンを直そうと試してみましたが、チェーンはびくともしません。どうしようかと三人で困っていると、通りかかったおばさんが、
「どうしたの?」
と声を掛けてくれました。事情を話すと、おばさんも一緒に、チェーンをはめるのを手伝ってくれました。でも、チェーンはびくともしません。

すると、今度は、おばさんの知り合いらしいおじいさんが、
「○○さん、何やっとるの?」
と声を掛けてきました。おばさんから話しを聞いたおじいさんは、家から工具を持って来てくれました。五人で、「ああでもない。」「こうでもない。」と話しながら、何度もチェーンを直そうと試みましたが、やっぱり無理でした。おじいさんが、
「自転車屋さんに持って行かないと無理だな。」と、すぐ近くの自転車屋さんの場所を教えてくれました。おばさんは、
「帰りが遅いと、親御さんが心配するから、電話しなさい。」
と自分の携帯電話を友達に差し出しました。

無事、自転車を修理に出し、迎えに来た家の人の車に乗った友達を見送り、私はほっとしました。一時は、「どうなるんだろう」ととても不安だったので、手伝ってくれたおばさんとおじいさんに感謝の気持ちで一杯になりました。

このことがあって、人と人とのつながりの大切さやすばらしさを改めて考えさせられました。人は一人では生きていけません。人と関わり、助け、助け合いながら生活していくことが大切なんだと感じました。

近頃は、「隣の家に住む人の顔も知らない」とか「近所の人と会ってもあいさつしない」なんてことをよく耳にします。とてもさみしいことだと思います。

私の家の近くには公園があります。毎年夏になると、近所のお年寄りが、夕方その公園に集まって井戸端会議をしています。私はそこを通るのが苦手でした。なぜかというと、そこを通るといつも、
「おかえり。」
「部活ご苦労さん。」
と一斉に声を掛けられるからです。私は恥ずかしいのと、ちょっと面倒くさいなという気持ちで、小さな声で返事をしていました。

でも、今年の私は違います。その公園のそばを通るとき、大きな声で、
「ただいま。」
と自分からお年寄り達に声を掛けます。

それが、人と人とのつながりの第一歩だから。