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 昔は大学が定める卒業条件をクリアすれば誰でも学士号が取れましたが、文部科学省の大学教育改革が進み、現在は大学で何を勉強し、どんな力が身に付いたかを可視化し、さらに学生自らがそれを伝えられる力が求められています。講演では日本福祉大学の取り組みとして、国の助成で行う「ディプロマサプリメント(学修到達レポート)」などを紹介。「正課外の活動まで記録することが特長で、本学が先頭を切って進めている段階。さらに“卒業時における質保証”のために多くの指標を使い、学生の学び、教員の教育、学部・学科のカリキュラムを一体的に評価している」と述べられ、先進的な教育をアピールしました。学生が身に付けた力を可視化し、より伸ばしていく教育を実施。 宮腰教授はこれまでの災害を振り返り、被災地での健康管理として水分補給、排せつ、口腔ケア、心のケアのポイントを詳しく説明。また、身体や心に不安を感じてきたら「無理をしない」、「休むことを遠慮しない」、「助けを求めることを恥じない」の3点を意識してほしいと話しました。続いて、さまざまな立場で活躍する同窓生3名より災害時の活動報告が行われ、広島共立病院の医療福祉相談室に医療ソーシャルワーカーとして勤務する櫻下美紀さんは2014年8月に起きた広島豪雨土砂災害の活動について、福山市社会福祉協議会 福祉のまちづくり課の鳥海洋治さんは2018年の西日本豪雨の際の災害ボランティアセンター運営について、地区町内会代表の堀川厚士さんは地域の支え合い、情報共有の大切さについてお話くださいました。その後は全員が壇上に上がり、医療、行政、地域連携の現状や課題などを話し合うとともに、来場者の方の質問にも応じながら、会場一体となって災害時の備えを考えました。充実した4年間の学びのために~日本福祉大学における先進的な教育改革の取り組み~中村 信次 日本福祉大学全学教育センター長テーマ講 師 いつ起きるか分からない災害。佐藤助教は「災害後の支援活動がうまくいく所は、平時から備えている力が高い。普段から生活の仕組みや人との関係性を構築することが大事」とし、それらの力を育む「防災キャンプ」の事例を紹介。「地域の公民館で行う防災キャンプは、学生とともに近隣で食材を購入し、民生委員さんと料理を作り、テントで寝るなど実践的に学んでいる」と話しました。また「福祉の仕事はあらゆる状況下に置かれた人々の幸せをつくる仕事。それが本学の学生に求められている。他人事を自分事にするきっかけを増やし、災害時にどう動けばよいかを学生に実践的に伝えたい」と力強く語りました。他人事ではなく自分事で、実践的に防災を学ぶ。災害とソーシャルワーク佐藤 大介 日本福祉大学全学教育センター助教テーマ講 師岐阜会場同窓生3名を迎え、医療、行政、地域の視点から防災・減災を考える。「備えあれば憂いなし」~災害時の実体験報告を通じて保健的視点で学び合う~宮腰 由紀子 日本福祉大学看護学部教授テーマ講 師PICK UPPICK UP広島会場 下宿する息子とはゆっくり話をする機会が少ないため、大学の教育方針や就職支援の具体的な話を伺えてホッとしました。学生一人ひとりに寄り添っているのが伝わり、信頼できる大学だと改めて感じています。理学療法士を目指す息子は「できれば地元で就職したい」と話していたので、大学のUターン就職支援を活用して希望に合う職場が見つかればいいなと思います。息子は目標が決まれば突き進む性格。それに下宿を始めたことで自立し、随分たくましくなりました。どんな職場でどのような仕事をしたいのか。たくさんの人と話して、さまざまな職場を見ながら自分の軸を明確にし、夢に突き進んでほしいと思います。大学の就職支援を駆使して、納得のいく就職をしてほしい。細川 志保さん健康科学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 3年和真さん/岐阜県出身岐阜会場 「防災」という講演会のテーマに興味があったことと、大学の話を直接伺える貴重な機会とあって初めてセミナーに参加しました。各学部の特色や連携した教育内容を知り、専門性の高い学びが受けられる充実した環境だと感じています。息子はスポーツ推薦で入学し、野球に没頭する毎日を送っているようです。5月に名古屋へ試合観戦に行った際、副主務としてキビキビと動く姿を見て頑張っているなと感心しましたね。親としては進路が少し気がかりですが、働くのは本人ですから、こちらからあれこれ言わず本人に任せたいと思っています。息子が決めた進路ならきっと大丈夫ですので、そっと見守りつつ、応援していきます。好きなことに全力投球し成長している息子の将来が楽しみです。山本 健さん、恵美さんスポーツ科学部スポーツ科学科 2年修造さん/広島県出身広島会場保護者の皆様にインタビュー日本福祉大学セミナー報告3134

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