07「性暴力撲滅に向けた早期介入とPTSD予防のための人材育成と社会システムづくり」性暴力被害者の約半数は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する。その症状は被害者の後の人生のみならず、虐待・DV・依存症と深く関わり次世代に影響を及ぼす。確立された治療方法とともに、すぐアクセスでき、より早期に介入できるワンストップ支援センターの拡大により隠れている性暴力被害者を救援できる。「なごみ」をハブとして性暴力被害者支援看護師(SANE)と多職種連携チーム(MDT)を配置した病院拠点型ワンストップ支援センター(OSC)を愛知県内に拡充することにより、データ連携、PTSD医療を進め、性暴力被害者の救援・治療・回復を図る。同時に、性暴力撲滅に向けた人材育成システムの開発と社会システムづくりに取り組み、全国展開に向けたシナリオを作成する。学インパクトランキング」への登録も2020年を目途に完了したいと考えています。児玉 国連アカデミック・インパクトや大学インパクトランキングを通して、“しあわせ”の多様性を伝えたいと思います。良い大学を卒業し、優良企業に勤めて高収入を得て、多くの年金をもらって生活する従来の理想と言われるライフコースだけでなく、収入は高くなくても、誰かの支えになる仕事を選択したり、やりがいを感じながら地域の方々のしあわせに貢献したり。現代のしあわせ像は決して一つではありません。多様なしあわせを認め合う大切さを、本学の取り組みの中から発信していくことが重要です。福田 ふくしの総合大学ならではの視点で活動を社会に発信しながら、本学の貢献を社会にアピールできる機会だと思います。児玉 国立研究開発法人科学技術振興機構社会技術研究開発センター(RISTEX)が募集する2019年度戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(シナリオ創出フェーズ)において、本学看護学部の長江美代子教授が研究代表となっている提案が採択されましたが、これも一つの例です。福田 そうですね。このプログラムには全国の国公私立大学や国立研究開発法人などから134件の応募があり、このうち10件が採択されました。採択率はわずか7.4%。テーマは「性暴力撲滅に向けた早期介入とPTSD予防のための人材育成と社会システムづくり」です。まずは愛知県内で性暴力被害者支援のワンストップの支援モデル事業をつくり、被害者の救援、治療、回復などの仕組みを構築。いずれは社会システムまで発展させたいと進めているところです。大島 採択率が7.4%とは、非常に狭き門ですね。ふくしの総合大学というところに注目され、貢献が期待されて採択につながったのではないでしょうか。SDGsのゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」に当てはまる取り組みとして、私も興味深く拝見しています。日本福祉大学として、今後さらに発展させていきたいとお考えの部分はどのあたりですか。児玉 大学としては、SDGsに資する研究に取り組むとともに、教育を通じてSDGsの達成を担う人を社会に輩出することを重視しています。学生たちが本学の学びを通じて身に付けた力を2030年までの達成をめざすSDGsのゴールに向かって、役割を担ってほしいと思っています。そういう意味では、本学のふくし・マイスター養成の取り組みは、このねらいに合致しています。地域連携教育を通じた、地域で暮らす人やコミュニティが抱える課題の解決に取り組む実践的な学びが、社会に出てからも自らアクションを起こすことにつながると思います。本学から毎年、通学過程で1,500人以上の卒業生が社会に出て行きます。卒業生各々が、暮らしている地域や職場のある地域において、志を持って自発的な活動をしてくれることが、「誰一人として取り特集 SDGs達成に向けた日本福祉大学の取り組み採択プロジェクト解決すべき問題提案内容特に優先するゴール研究開発に参画する実施者、協力する関与者の所属機関●日本福祉大学 看護学部 看護実践研究センター●名古屋第二赤十字病院 性暴力救援センター 日赤なごや「なごみ」●一般社団法人日本フォレンジックヒューマンケアセンター(NFHCC)●名古屋大学 大学院情報学研究科 知能システム学専攻 間瀬研究室●名古屋市児童相談所●武蔵野大学 人間科学部 大学院人間社会研究科 心理臨床センター●鈴鹿医療科学大学 看護学部 看護学科●名古屋市立大学 大学院医学研究科 法医学分野●一般社団法人 日本フォレンジック看護学会(JAFN)●独立行政法人 国立病院機構東尾張病院●楓の丘こどもと女性のクリニック●ハヤカワカウンセリングオフィス●御器所こころのクリニックふくしの大学ならではの視点で社会に活動を発信。31
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