特別賞
「大切にしたい祖父の教え」

東浦町立東浦中学校 1年

中山 凌介

みなさんは、益虫って知っていますか。ある日のぼくと祖父の会話です。
「カマキリの卵を探してきて欲しい。」
「なんで」
「う化したら畑に、はなすんだ。」
「だから、なんで。」
ぼくは、祖父の言っていることが全然理解できませんでした。どうして、カマキリを育てるのだろうと思いました。祖父は、
「カマキリは、畑の害虫を食べてくれるから農薬を散布しなくてもよくなるんだ。」
と、教えてくれました。カマキリは、益虫といって畑の作物の害虫を食べてくれる役に立つ昆虫のことです。その日からぼくのカマキリの卵探しが始まりました。普段、意識してない時は、あんな所にあるんだなって気に留めていませんでしたが、いざ探してみるとなかなか見つかりません。インターネットで調べてみたら、木の幹や草の茎に50センチから250センチの高さで産みつけると書いてありました。昔から卵の位置が高いとその年は、雪が多く降るという言い伝えがあるとも書いてありました。やっと見つけたカマキリの卵は、草むらでも木の幹でもなく家の壁にくっついていました。その後もスコップの柄や植木鉢のへりに卵が産みつけられていました。

ぼくの住んでいる知多半島は、比較的自然の多い土地です。カマキリの卵を探すまではそう思っていました。この間まで山林だった場所がいつの間にか宅地になっていました。宅地を整備すれば、人口増加につながるので町の活性化のためには、しかたがないと思います。そうとわかっていても、緑の木々がおいしげっていた自然がなくなっていくのは、さみしいです。祖父の畑の周りも、この二、三年の間で家がたくさん建ちました。農業を継ぐ人が少なくなったり就農者の高齢化によって農地を手離す人が増えているそうです。祖父は、晴れた日は農作業をします。本当に、農業は大変な職業です。ぼくは、中学生になって土日に部活動があるので小学生の時のように作業を手伝えなくなりました。だから、祖父の作業がちょっとでも楽になるようにカマキリの卵をう化させたいです。卵のはいった虫カゴを日の当たる暖かい風通しの良い場所に置いてあります。それを祖父とぼくがながめながら二人で次に作る野菜の話をするのが楽しいです。そして、収穫した野菜を一緒に料理して食べながらお酒も飲みたいです。その時がくるまで、祖父には、元気でぼくが一人前の農作業ができるまで長生きしてもらいたいです。