日本福祉大学学長賞
「みんなの楽しい思い出」

大府市立大東小学校 5年

神谷 杏かみやあん

 「よく来たね」
とおばあちゃんがいってくれました。
毎年、夏休みにおばあちゃんの家に泊まりに行きます。泊まりにいくのは、私と弟の二人です。お母さんとお父さんはいません。なので、いつも最初はきんちょうします。おばあちゃんはまず家に入ると 「ほとけさまにごあいさつしておいで。」と言います。

 私の家には、ぶつだんはないけど、おばあちゃんの家には置いてあってほとけさまに来たことを知らせる「リン」を私か弟のどちらが鳴らすかケンカになります。リンを鳴らすとチーンチーンときれいな音がひびきます。私はその音を聞くと少しピンとしたしせいになります。目をとじているとおばあちゃんが来て、
「何か飲む?」「すいか食べる?」
などと、私と弟に優しく話しかけてくれます。私は、いつもはずかしいので、小さい声で返事をします。お母さんは、返事が小さいとしかったりするけど、おばあちゃんはしかったりせず、私の言葉をくりかえしてくれます。だから、少しずつ、いつもどおりに話せるようになります。私は知らずのうちに、なじんでいくことをいつもおばあちゃんのまほうだと思っています。

 おばあちゃんはいつもわたしたちにやさしく接してくれます。いろんな話をしてくれて、笑わせてくれます。私がはずかしくてうまく話ができない時でも、ちゃんと私のことをわかってくれます。そんなまほうをかけることが私もできるようになったらいいなと思います。あの子と話していると楽しいなと思われるようになりたいと思います。おばあちゃんがしてくれるように、少しずつあいての気持ちの中に入っていけるようになれたらいいなと思います。
おばあちゃんに
「なんでそんなに話しかけてくるの?」
と聞いたとき、
「少しでもみんなの思い出が増えるといいと思っているからだよ。」
と答えてくれたことがあります。
おばあちゃんのやさしい気持ちが伝わってきたしゅんかんでした。だから、私はおばあちゃんが大好きです。

 いつも自分の家に帰る日がくると、もっとおばあちゃんと一緒にいたいなと思います。おばあちゃんもそんな風に思ってくれるようで少しさみしそうに
「またいつでもおいでね」
と言ってくれます。

 私もおばあちゃんのようにみんなの楽しい思い出の中に入れるような自分でいたいと思います。私の思い出も楽しいもの、友達の思い出も楽しいものであることが、私たちには大切だと思います。