半田市長賞
「笑顔の力」

半田市立半田中学校 1年

松林 聖音まつばやしきお

笑顔――これは、私が人と関わる上で、一番大切にしたいと思っていることの一つです。その理由は、八年間続けてきたチアダンスを通して、笑顔の素晴らしさをたくさん知ったからです。

チアダンスは、人を勇気づけ、元気にさせ、応援するために踊るダンスです。そのため、笑顔で踊ることがとても大切だと教えられてきました。私はこれまでに、地域の祭りやイベント、試合の応援など、数多くの場所で踊ってきましたが、笑顔の素晴らしさを特に実感したのは、ある老人ホームの慰問をした時でした。

踊り終わった後に、お年寄りたちと触れ合う時間がありました。そこで、私はお年寄りたちから、「あなたたちの笑顔からたくさん元気をもらった」「笑顔に感動した」「笑顔をありがとう」などと、感謝の言葉をたくさんかけられました。中には、手を握り、涙を流しながら喜んでくれているお年寄りもいて、私は、笑顔がこんなにも人を喜ばせられるということに驚き、とても感動しました。また、そんなお年寄りたちの笑顔を見ていると、私までうれしくなり、お年寄りたちと一緒に楽しい時間を過ごすことができました。

また、アメリカで、現地のチアリーダーや子供たちと一緒に踊った時のことです。話す言葉も違い、肌の色も様々な人たちの中で、何も話せずきん張していた私を救ってくれたのは、チアリーダーたちの笑顔でした。目を見てとびきりの笑顔をされた瞬間、不安な気持ちが一気に飛んでいき、私も自然と笑顔を返していました。周りの人に常に笑顔で接しているチアリーダーたちを見ていると、笑顔は、相手の不安な気持ちや、言葉の壁、人種の壁、年れいの壁など、様々な壁をなくす力を持っているような気がしました。

人は誰でも、初対面の人や、自分と違うところを持つ相手に対して、壁をつくってしまいがちです。でも、その壁が少しでもなくなれば、お互いに安心して、もっと楽しい時間を一緒に過ごすことができるのではないかと思います。笑顔には、それを手助けするだけの力があると、私は思いました。

私の九十七才になる曾祖母が、今日も笑顔の素晴らしさを証明してくれています。耳も遠く、同じことを何度も言ったり聞かれたりするので、なかなか普通に会話をすることが難しく、お互い困ったり悲しい思いをしたりすることもあります。でも、そんな時こそ笑顔の出番です。言葉は通じなくても、笑顔は百パーセント通じ合います。そして、二人で笑顔になった後には、温かくて優しい空気が必ず流れます。曾祖母も私も、笑顔の力に感謝です。

人は、たくさんの人と出会い、関わりを持ちながら生きていきます。その関わりの中でお互いが少しでも幸せな気持ちになれるように、私はこれからも、笑顔の力を信じて生きていきたいと思います。