半田市教育委員会賞
「面倒でステキな私の家族」

半田市立半田中学校 3年

肥田 彩愛ひだあやな

私には自慢の家族がいる。ユーモアがありいつも私達家族を笑わせてくれる父、時には厳しいこともあるが、いつも私の味方でいてくれる優しい母、甘えん坊でかわいいペットの犬だ。一人っ子の私は、友達からうらやましがられることもある。私も好きなことをやらせてくれて、応援してもらえる家族にとても感謝しているのだが…。残念なことに、たまにとても面倒くさい人物がいるのだ。

それは、父である。父は私が小さい頃から何かほしい物があったり、やりたいことがあるとプレゼンテーションを要求する。例えば、携帯電話がほしい時にはもちろん、父はすぐには首を縦には振らなかった。そこで私は母の知恵も借り、父に熱くプレゼンをした。バレエの先生は自主練習を重んじるため、習い事のバレエの連絡などに必要であること、バレエのレッスンが長引いたりした時に、迎えに来てもらっても、待たせてしまうことがあったということなどをアピールした。それでも父は納得しなかったが、母が実際に迎えに行って一時間待たされたエピソードを補足してくれて、ついに携帯電話をゲットした。もちろんいろいろな約束ごとがあり、そこからは母の鋭いチェックが入るのだが、これもまた面倒だ。

またバレエのコンクールに初めて出させてもらえるようになった時もすぐには承諾してもらえなかった。たった一分の踊りのために、交通費、宿泊費、参加費等のお金がかかる、本当に必要なのか、といわれた。確かに我が家は裕福ではないことはわかっていた。が、何も文句も言われずに出場を決めた友人を見て、
(何てケチな父親なんだ!)
と泣けてしまった。すると母はこっそり私に本当に出たいならきっと応援してくれるはずと励ましてくれた。そこで私は、いつものようにバレエに対する熱い気持ちを父にプレゼンした。自分の小遣いから少し出してもいいとお願いした。すると父は
「じゃあ頑張れ。お前はお金の心配するな。」
と言って認めてくれた。つくづく面倒くさいと思うのだが、今までも何とか本当に何かしたい時には母の助けを借りながら、父を説得してきた。

そして中学三年になりそろそろ進路を考えるようになり、私は中学二年の職場体験がきっかけで幼稚園教諭か保育士の資格を取りたいと思うようになった。自分なりに調べたり、塾の先生とも相談し、志望校は一本に決まっていた。父が反対するのはわかっていた。私は父に保育士の資格を取りたいこと、大好きなバレエは続けたいこと、そのために志望校へ行きたいことを伝えた。すると父はあっさり認めてくれた。私は内心不思議に思った。すると母は、
「ついに一人で立派なプレゼンができたね。」
と言って笑った。私はつくづく、この面倒な家族に生まれて良かったと思った。