日本福祉大学生涯学習センター長賞
「がんばることの意味」

東海市立富木島中学校 3年

伊藤 那々実いとうななみ

私の曾祖母は九十四歳。よく食べて、よくしゃべり、よく眠る、元気な人です。また、とても真面目な人で、動けなくなって、人に迷惑をかけまいと、毎日、歩きに出掛けています。そのおかげで、この年齢でも、自力で歩いています。こんな若々しい曾祖母は、私の自慢です。

ですが、最近は、年齢のせいか、病気のせいか、だんだんと動きが鈍くなってきました。転びやすくなったり、指先の細かい動きが思うようにできなくなったりしてきました。年齢を考えれば、当然のことですが、今まで普通にできていたことが、できなくなってきたことは、曾祖母にとって、とてもショックだったようです。

それからは、今まで以上に熱心に体や脳を鍛え始めました。日課の散歩は、足が痛くても、夏の暑い日も、冬の寒い日も、必ず行っています。
「ハァ。ハァ。ただいま。」
「おかえり、ばあちゃん。暑いのに、よく歩きに行けるね。」
「歩けなくなるのは嫌だからね。あんたたちに迷惑かけたくないしね。がんばるよ。」
そう言って笑う曾祖母は、汗だくで、息もあがり、疲れきっています。ですが、その顔はとても満足そうです。

しかし、なぜそこまでがんばれるのでしょうか。体じゅうが痛いのに。少し動くのだって大変なのに。簡単に動くことのできる私だって、夏の暑い日に外に出ようとは思いません。できれば動きたくない。冷房の効いた部屋で、ずっと眠っていたいものです。

「ねぇ、どうしてそこまでがんばれるの。」
「あんたたちは、テストとか、検定とか、がんばっとるだろう。そういう姿を見ると、ウチもがんばろうって、思えるんよ。ウチも負けんぞと思えるんよ。それに、長生きしてあんたたちのがんばりを見たいしね。だから、あんたたちも、もっといろいろなことに挑戦して、がんばりなさい。」

この言葉を聞いて、私たちのがんばりが、曾祖母の力になれていることをとてもうれしく思いました。そして、がんばることに、意味があることを再確認しました。がんばることで、よい結果を残せたり、自分に自信がついたりします。また、他者に、勇気や元気、希望を与えることができます。そして、互いに刺激し合って、高めていくこともできます。がんばることは、自分にとっても、周りの人にとっても、大変意味のあることです。がんばることに対して、
「めんどくさい。熱くなって馬鹿みたい。」
と、思わずに、挑戦することが大切だと思いました。

私は、今年、受験をします。苦しいときもあると思います。そんなときはあの言葉を思い出して、曾祖母と共に、励まし合って、互いの目標に向かって努力していきます。そして、必ず合格して、最高の笑顔を見せます。