特別賞
「オールライフモール」

半田市立半田中学校 2年

河合 咲依かわいさえ

高齢化が進み、二〇二五年には高齢者が約三六三五万人になるそうだ。また、子どもの数は年々減少してきている。このことを少子高齢化といい、今、社会問題となっている。

今年、祖父が亡くなり、祖母の一人暮らしが始まった。それに伴い、祖母の生活スタイルは、ガラリと変わった。家庭菜園を始めたり、パン作りに挑戦したり…。犬の散歩も日課になった。散歩を通じて犬友もできた。
 「この辺りは犬の銀座だねぇ。」
 「そうだねぇ。」
ささいな会話ですが、祖母は「楽しい」と、うれしそうに言っていた。

しかし、こんな良い影響ばかりではない。私の父を含め、家族は心配事が山積みだった。顔が見えるインターホンの設置・玄関先で支払いをしない・火の元注意・玄関の鍵を必ず閉める。

そんな中、一番困ったのは、車の運転ができないという事だった。病院やスーパーマーケット、祖母のパートの送り迎えは、祖父が行っていたからだ。それが当たり前だった。だから今は、どこへ行くにも不便を感じる。

自転車。それが最初に思い浮かんだ交通手段である。しかし、家族の多くが反対した。生前、心配症の祖父は、「自転車は危ないから」と禁止していたからだ。坂が多く、かつ、長年乗っていないことに、誰もが大きな不安を持っていた。

そこで、目を向けたのがバスだった。祖母の住んでいる町には、コミュニティバスが走っていた。「コミュニティバス自体が住民のコミュニティの場として活用されることが大切」と書かれていた。しかし、残念ながら、祖母の家からの利用には不便ということで、バスを諦めることにした。私は、もっと交通の便がよくなればなと思った。

それから数ヵ月がたった。徒歩での生活には限界があり、自転車を前向きに検討していくことになった。ご近所の同世代の方からお話を聞いた。自転車屋さんとも相談を重ね、電動自転車を買った。車輪が小さく、足がしっかり届くものを選んだ。祖母は「これで行動範囲が広がる。ずっと行けてなかった太極拳にも行ける」と喜んでいた。

こういう経験から、私は「高齢者にとって住みやすい街づくり」について考えるようになった。

街に一つ、オールライフモール。私が考えた未来のカタチ。~全ての人の生活がここに~医療機関、食料・衣料品店、ホームセンター、ドラッグストア、美容院、図書館や市役所などの公共機関、金融機関などを一か所に集めた大きな施設だ。様々な施設・店舗を一か所にまとめれば一度で用事を済ますことができる。また、バスの本数を増やせば、ますます便利になる。

全ての人が暮らしやすい街を目指して…。そのためにはまず、今の現状をより深く、より多くの人に知ってもらう必要がある。