特別賞
「出会いを大切に」

阿久比町立東部小学校 6年

新美 孫佑にいみまごすけ

「一緒にキャッチボールしよう。」
年長の時、公園で祖母とキャッチボールをやっていたぼくに、あるお兄さんが声をかけてくれました。祖母が相手ではつまらなく、ふてくされていたぼくに、気づいてくれたのかもしれません。

ぼくは、そのころ、父や母と離れて暮らしていました。突然のことだったので、初めは、わけも分からずに、小さい妹と祖父母と暮らしていました。だから、長い旅行に来ている感じでした。でも、だんだんとさびしい気持ちになってきました。
「春になったら、お父さんもお母さんもこっちに来るからね。」
そう言って毎週父か母が会いに来てくれたけど、日曜日の夕方に駅で見送る時は、複雑な気持ちになりました。また、保育園で遊んでいる時はいいけれど、家に帰ってひとりになると、さよならも言えなかった福島の友だちに会いたくなりました。

そんなぼくは、福島にいるときから、野球が大好きでした。妹を産んで仕事をお休みしていた母を誘い、毎日のように野球遊びをしていました。母が復帰してからは、父や手伝いに来てくれていた祖父母と、毎晩、ノックやバッティングの練習をして、楽しんでいました。

それなのに、思うように野球ができず、余計にさびしい気持ちになっていました。そんな時に、知らないお兄さんが声をかけてくれたのです。

それから、時間があれば公園に行き、お兄さんとキャッチボールをして遊ぶようになりました。保育園にしか知り合いがいなかったので、とてもうれしかったのを覚えています。お兄さんは、地元の野球チームに入っていて、いろいろなことを教えてくれました。そのおかげで、そのチームの他のお兄さんとも仲良くなれました。
「小学生になったら、ぼくと同じチームで一緒に野球やろうよ。」
と、誘ってくれるようになりました。大好きな野球ができるようになり、さびしい気持ちも紛れていきました。

今、ふり返ると、あの一年間よくがんばったなと自分でも思います。がんばることができたのは、祖父母や親せき、保育園の友だちやその家族など、ぼくの周りのたくさんの方たちに、助けていただいたからだと思います。今も感謝の気持ちでいっぱいです。

ぼくは、今、お兄さんは卒団してしまいましたが、お兄さんと同じチームで野球をしています。好きなことがあり、それができるということは、とても幸せなことです。

あと半年で中学生になります。中学校で、小さいころ一緒に野球をやっていた人達と、また、野球ができると思うと、今からでもワクワクします。これからも、声をかけてくれたお兄さんをはじめ、たくさんの人たちとの出会いや絆を大切にしていきたいと思います。