特別賞
「次へつなぐ」

大府市立大府中学校 2年

安藤 彩羽あんどう いろは

 去年、友達と地域の夏祭りのボランティアに参加した。その中でも私たちは全く経験がなかったが、「楽しそうだから」という軽い気持ちで太鼓をやることにした。

 太鼓の練習は夏休みを使って行われた。先生は厳しそうな感じがしたが、丁寧に教えてくださり、友達が来られない日は心細かったが、知らない先輩や社会人の人達の中で楽しんで参加することができた。簡単に叩けるようになると思っていたが、初めてだったので太鼓の叩き方や叩く箇所、バチの持ち方など分からないことが多かった。また、曲数も多く初めて聞く曲もあり、覚えるのが大変だった。練習は進みも早く、ついていくことができず、社会人の方が私達の隣についてくださり、教わりながら練習した。毎日の練習を通じて、伝統はこうやって受け継いでいくものだと感じた。練習会だけでは不十分だと思い、家でも譜面をもとに母と練習をして曲のリズムや叩き方を覚えた。太鼓はみんなと合わせることが大事だ。はじめはみんなの足を引っ張るのではないかと不安だった。けれど、たくさん練習をして、少しずつリズムが取れるようになり、一曲を通して行う練習では一体感が生まれるようになった。私は太鼓の面白さを知った。

 夏祭り当日。みんなで法被を着て、やぐらの上に登った。私は、やぐらの上に登るのが初めてだったのでとてもわくわくした。毎年来ている祭りだったので自分がやぐらの上にいることが不思議な感じがして、なぜか誇らしく思った。提灯が灯り、やぐらの周りをたくさんの人が円になり踊り、あっという間に楽しい時間は過ぎていった。近所の人が見てくださって、「上手に出来ていたよ」と言われてとても嬉しかった。

 私たち家族は、私が小学校低学年の頃に今住んでいる大府市に引っ越してきた。昔から大府市に住んでいる人も多くいるが、私は大府のことは何も知らず、ただ「大府市に住んでいる人」だった。学校の社会の授業で大府市のことを勉強したときも「自分の町」と感じることが出来なかった。夏祭りのボランティアを通して「大府ばやし」など大府の民踊にふれることもでき、私は大府市の一員になれたと感じた。

 今年も太鼓のボランティアに参加し、二年生として一年生に少しでも私の手で伝統をつないでいきたかった。けれど、新型コロナウイルスの影響で祭りは中止になってしまった。来年もどうなるか分からない。けれど、これからも大府市のボランティアに積極的に参加して「自分の町」になるようにしていきたい。