半田市教育委員会賞
「コロナ禍 その過程で学んだこと」

半田市立青山中学校 2年

青木 愛結那あおき あゆな

 自粛期間は私にとって自分を見つめ直す期間となった。本来であれば、「新しく友達ができました。」とか「初めての先生の授業で緊張しました。」とか書いていただろう日記帳の四月コーナー。「新学年にも慣れてきました。」などと書いていただろう五月コーナー。しかし今年はというと、緊急事態宣言に伴い、学校が臨時休校となったことで、内容はほとんど家庭内であったことへと一変した。

 ある日、いつものように見ていた報道番組に突然テロップが流れ、私は言葉を失った。「タレントの志村けんさん(70)が新型コロナウイルス肺炎のため死去」自分の年齢的に、知っている有名人が亡くなるということは、あまり経験したことが無かったので、とても驚いた。それから数日間は志村さんの訃報のニュースが流れ、沢山の人々がその死にコメントを残した。その中で私が心を動かされたコメントがある。「志村さんも自分がコロナに感染したって分かってないまま逝ったんじゃないかな。」その言葉を聞いた瞬間、胸がギュッと熱くなり、悔しくなった。この言葉を聞いて、人の命はとても儚く、このように突然奪われてしまうこともあるのだと痛感し、そして「今、この瞬間」を大切にしようと心に決めた。その為にも、この自粛期間を無駄にはしまいと、一日の振り返りを毎日日記帳に記すようにした。また、一日の充実度を自己判断し、毎日◎○△で記録した。そんな日記帳は毎晩見返し、もし今日が人生最後の日になったとしても、本当に悔いは残らないのかと自問自答を繰り返した。

 日記帳の天気欄に、「雨」と記す日が増えてきた頃、学校が再開した。約三ヶ月間分の遅れを取り戻すべく、例年に比べややハイペースで授業が進むように感じた。休暇中の体のなまりに対し、やるべきことの多さに体がうまく対応出来ず、「今」やれることを後回しにすることが多くなっていった。今振り返ってみると、毎日、学校へ行き授業を受け、給食を食べて部活動をする、そんな当たり前の日常を送っているうちに、その大切さを見失っていたのだと気付き、反省した。

 もしかしたら、コロナがまた再流行して再び臨時休校になるかもしれない。コロナとは全く別のウイルスや病原菌が出てくるかもしれない。また、日本は自然災害の多い国だと言われているため、いつ不便な生活をしいられるか分からない。しかし、どのような状況下におかれても、「今あるこの瞬間を精一杯生きる」という考えを、常に自分の中に持っておきたい。