日本福祉大学生涯学習センター長賞
「「ありがとう」をあなたに」

武豊町立武豊中学校 2年

三浦 なご美みうら なごみ

 「一回病院に行ってきてね。」この言葉を、私は何回聞いたのだろうか。またケガをしてしまった。つい二ヶ月前に、別のケガが治って通院が終わったばかりなのに。「どうやって説明しよう…。」母に言うのが怖かった。そんなことばかり考えているうちに、家に着いてしまった。「ただいま」と言うよりも前に、「膝痛いから病院つれてって。」と言った私に、きっと母は呆れただろう。

 母は怒りながらも、病院に連れていってくれた。レントゲンを撮った。けれど痛みの原因は見つからない。そこでMRI検査を受けることになった。大したことではないだろうと思っていた。でもそのときの私は、まだ何も知らなかった。このケガで、たくさんの人の迷惑になること。そして助けられることに。

 検査結果が出た。骨挫傷だった。もう片方の膝も同じ痛みがあったので、検査した。結果は同じだった。今まで床に勢いよく膝をついて、それが蓄積されてこのケガに至ったそうだ。全治およそ三ヶ月。その日から、両足を固定され包帯でぐるぐる巻きにされ、松葉杖を使うという大変な生活が始まった。歩くのがとても遅い。しかも松葉杖も持っている。この状態で登下校するのは危ない、ということで、母が仕事の合間を縫って送迎をしてくれた。テスト週間で朝早いとき、部活で帰りが遅いとき、土日の部活も全部。おかげで足に大きな負担がかからなかった。椅子に座って授業を受ける。足が辛いので机の前にもう一つ椅子を置いてもらい足を伸ばす。普通に座るより足が楽だった。その時は一番前の席だった。松葉杖や足をのせる椅子に、他の人がつまずいてしまう、と先生に相談したら、席を一番うしろに替えてくれた。場所を替わってくれた子は、「黒板見にくかったからこちらこそ!」と心よく替わってくれた。

 移動、動くのが何より大変だった。まわりの友達が、ロッカーからリュックや荷物、教科書をとってきてくれた。移動授業のときは両手が塞っている私の代わりに荷物を持っていってくれた。ゆっくりでいいからね、と一緒についてきてくれた。「気つかわんくていいからね?」と言ってくれた。給食当番を代わってわってくれた。「お互い様だから安静にしてね!絶対だよ?」私の性格をよく分かって動くことを止めてくれている。

 部活の練習に参加できないから抜かされていく、このケガをしたからもうこの競技ができないかも、と友達や先生に相談した。「練習付き合うから!」「膝をつかない戦い方をすればできるよ。諦めるな!」何度も何度も励ましてくれた。ケガをするたびにたくさんの人が支えてくれた。黒闇のどん底にいる私に明るい希望をくれた。私も、誰かに光を照らしてあげたい、今回のケガでそう強く思った。これだけは伝えたい。私を支えてくれたたくさんの人へ。ありがとう。