特別賞
「僕の家族の決まり事」

半田市立半田中学校 3年

高浪 裕大たかなみ ゆうだい

 二年前の夏、僕の祖母は入院した。それに伴い僕たち家族はある決まりを作った。僕の両親は共働きのため、祖母は昔から僕たち家族のためにご飯を作る、習い事などの送り迎えをするなどの家事を手伝ってくれていた。祖母の負担も考えず、僕たち家族は、いつも祖母に助けてもらってばかりだった。

 そんな中、祖母が手術のため入院することになった。今までやってもらっていた家事を僕たち家族は全て自分でやることになった。しかし、昼の間は両親が仕事で家にいないため、僕は姉と二人で祖母にやってもらっていた家事をすることになり、今までどれだけ祖母に負担がかかっていたのかを痛感した。僕は祖母に改めて感謝の気持ちを伝えたいと思った。そして祖母に負担がかからないように、家族で二つの決まりを作った。一つ目は、自分でできることは自分でやること。二つ目は、祖母に何かしてもらった時はきちんと感謝の言葉を伝えること。

 それから二年がたち、今年また祖母が入院することとなった。二年前から僕たち家族は決まりを守り、祖母に負担がかからないように生活をするようになった。そのため隣に住んでいる祖母が僕の家にきて、過ごす時間が減っていき、祖母と会わない日が続くことが多くなっていた。そんな日が続いたことで、祖母の変化に気づくことが減っていった。最近、母から聞いたのだが、祖母の病気には前兆があったらしい。しかし、そのことに僕は全く気づけなかった。自分のことで精一杯になってしまい、祖母と過ごす時間が無くなっていたからだ。そもそも祖母の負担を減らし、体が悪くならないようにするためだった決まりも、二年たった今では意味をなさないものになっていた。

 今回の出来事で祖母と共に過ごすには何が大切なのかを改めて考えた。祖母の負担を減らすため、自分のことを自分でやることはとても大切だ。しかし、それだけでは今回のように、祖母の体調や状況に気づいてあげられない。そこで家族の決まりを新しくしなければならないと思った。本当に祖母のことを考えるのならば、今までのようにただ負担を減らすだけでなく、祖母との時間を大切にしながら、負担を減らしてあげなければならない。そして僕は新しい、家族の決まりを作った。一つ目は、祖母の仕事をすべて奪うのではなく、何がしてほしいのか、何をしてあげられるのかをきちんと聞いてあげること。二つ目は、毎日祖母の体調を聞くこと。また、祖母とも一つ約束をした。それは僕たち家族に遠慮せず、自分の体調のことや、やってほしいことをきちんと話すことだ。

 決まり事は祖母の体調の変化によって、この先も変わっていくだろう。そのたびに家族で話し合い、祖母をみんなで支えていこうと思う。僕はいつまでも祖母の笑顔を見ていたい。僕が学校から帰ると満面な笑みで「おかえり。」といってくれる笑顔を。この先ずっと。