特別賞
「朝のあいさつ」

大府市立大府中学校 1年

中谷 桃花なかたに ももか

 「グッドモーニング!」学校への登校時、毎朝元気に声をかけてくれる人がいる。私は毎朝自宅近くの神社で友達と待ち合わせをして自転車で学校へ向かう。その神社は多くの小学生が集合場所としていて朝はとても賑やかだ。その中でひときわ大きな声であいさつをしてくれるその人は防犯パトロール隊の活動をされているおじいさんだ。中学生になって神社を集合場所として利用するようになった私は、はじめはそのおじいさんに少し戸惑いを感じた。お互いにあいさつを交わすのはいいのだが続いて部活や勉強のこと、好きなこと、頑張っていることなど友達を待つ間たくさんの事を質問してくるのだ。また、御自分のことやお孫さんのことなどを楽しそうに話し始める。友達が来て、さあ出発と思ってもなかなかお話が終わらない。タイミングをみて「じゃあ行ってきます。」というと、「おぉ、行ってらっしゃい、気をつけてな。」とさらに大きな声で見送ってくれる。そのうち友達が「面倒くさい」といってあまりあいさつをしなくなった。大きな声であいさつをしてくれると元気がわくし、気をつけて、とか勉強頑張れよと言ってもらえるのはうれしいので私はあいさつだけは欠かさないようにしている。

 ある日、母が出かけようと家の外に出ると近所を散歩されていたそのおじいさんに偶然会ったそうだ。母がいつも子供たちの見守りをしてくれていることへのお礼を言うと、そのおじいさんは、自分もたくさん子供たちから元気をもらっているということを話し、さらに私や時間差でその神社を集合場所として利用している姉のことも話しだし、いつもにこにこしていて愛想がいい、あいさつも元気がよくてこちらも気持ちがよいととてもほめてくれていたそうだ。その話を聞いて私はとても照れくさかった。決して大きな声とは言えない私のあいさつがおじいさんに元気をあたえているのだろうか。おじいさんの「グッドモーニング」の声の方がはるかに大きいのだ。

 翌日から私はあいさつのボリュームを少し上げてみた。相変わらずおじいさんの声はとても大きい。そして、部活動の始まった私達に「今日も元気よく頑張れよ。」と応援をしてくれる。

 夏休み、部活動のために毎朝登校するが、神社におじいさんの姿はない。二学期がとても待ち遠しい。初日から大きな声で元気よく気持ちのよいあいさつを交わしたいなと思っている。