特別賞
「白い絵を見解く」

武豊町立武豊中学校3年

伊東 菜優いとう なゆ

 私の家の前に、石川という川があります。その川沿いに「白い絵」があります。何も描かれていない真っ白の絵ではなく、描かれた絵が劣化して、見えづらくなった絵です。その絵の下には「石川」をいう題名と、「尾西市立朝日東小三年 花村章代」と作者の学校名と名前が書かれています。なぜ尾西市の小学生の絵が武豊町にあるのでしょうか。

 まず、尾西市がどこにあるのか、調べてみました。インターネットでは、尾西市は愛知県の尾張地方北西部、岐阜県との境に存在した市で、二〇〇五年四月一日に一宮市に編入されたと書かれていました。なんと、尾西市は私が産まれる前になくなっていたのです。

 次に、尾西市立朝日東小学校について、調べてみました。遡ること百十五年前、一九〇七年に、玉野学校と萩蓮学校という二つの小学校が統合され、東朝日尋常小学校が開校されました。その四十八年後、一九五五年に起町と朝日村が合併し、尾西市が発足、同時に尾西市立朝日東小学校という名前に改称されました。さらに五十年後の二〇〇五年、尾西市と木曽川町が一宮市に編入され、同時に一宮市立朝日東小学校という名前になったのです。

 ということは、一九五五年から二〇〇五年の間に、あの絵は描かれて、飾られたと考えられます。そもそも石川は、武豊町で流れているだけで、尾西市とはあまり関係がないはずです。なぜ、作者は、この絵を描くことになったのでしょう。残念ながらわからなかったので、作者がこの絵を通して何を私達に伝えたかったのかを絵から見解くことにしました。

 絵をよく見てみると、右側のおかっぱの女の子が右手を左下にのばしているようなものが見えたり、左上に鳥のような黒い点があったり、真ん中には四角のなにかがあったりしました。私なりに考えた結果、女の子が川でごみ拾いをしているのではないかと思いました。作者は、この川がもっときれいになってほしいという願いで、この絵を描いたのではないでしょうか。本当にそうだとしたら、作者の願いはかなっているでしょうか。

 今の石川の状況は、というと、少しごみが落ちていたり、人の手では刈りきれないほど草が生えていたり、プランクトンが増えすぎて川が緑色になっていたりしているので、とても、きれいだとは言えません。そこで、私はこの川をきれいにする取り組みをしようと思います。私ができることは、ごみを落とさないこと、ごみを見つけたら拾うこと、地域の人と草刈りをする日に、参加することです。いつか、絵を描いた作者が、この川を再び訪れた時、絵を描いてよかった、と思ってもらえるような川にしたいです。