日本福祉大学学長賞
「日本語の美しさ」

半田市立亀崎中学校3年

牧野 令依まきの れい

 この夏休みに祖母の家に遊びに行きました。私の祖母は、花が大好きで、庭にはいつも季節の花がいっぱい咲いています。私はよく、花の手入れをする祖母の隣で、学校のこと、部活動のことなど、祖母といろいろな話をしています。ふと、きれいに咲いている朝顔の中に一つ枯れている朝顔を見つけたので、祖母に
「ばあちゃん、あの朝顔枯れてるよ。」
と言うと、祖母は、
「朝顔は、枯れるではなくてしぼむって言うんだよ。他にも花によって表現の仕方が違うんだよ。」
と言って教えてくれました。梅はこぼれる、菊は舞うというそうです。確かに普段私達は、桜が枯れるとは言わず、桜が散ると言います。そして、桜の花の終わりの美しさも楽しむことができます。同じ『枯れる』という意味でも、花の状態を言葉で表現することで、とてもきれいな言葉に変身するということに驚きました。朝顔が枯れるというよりも朝顔がしぼむと言った方が、花の美しさも伝わる気がします。

 私は、去年から茶道を習い始めました。茶道は、おいしいお菓子を頂いて、抹茶を飲むくらいだと思っていた私は、先生の
「茶道はまずはお辞儀から」
という教えにとても感心しました。お辞儀ひとつにしても場にふさわしいものがあり、作法もすべてが整っていて、無駄がありません。季節ごとに変わる掛け軸やお花、お菓子で、日本の四季の美しさを知ることができます。まさに、千利休の「客人を思って全力を尽くすおもてなしの心」なのです。一期一会という言葉も茶道からきた言葉だと知り、改めて日本語の美しさを実感しました。

 花の表現や茶道の言葉だけでなく、日本語には、うれしい時には『心が躍る』悲しい時には『胸が締め付けられる』という言葉もあります。悲しいやうれしいといった単純な言葉よりも、感情の程度がより相手に伝わる気がします。何百年も昔からの日本語の表現の美しさに触れ、言葉の大切さを改めて感じると同時に、普段、私は美しい日本語を使っているだろうかと考えさせられました。友達と映画を観た時、とても感動したことを伝えようとして出た言葉は、
「この映画がちで泣ける。やばい」
でした。この「やばい」という言葉は、冷静でいられない時や、感情を強く表したい時など悲しい時にもうれしい時にも使える便利な言葉です。でも、このままずっと使っていていいのか不安になりました。

 毎日当たり前に使っている日本語にはまだまだ私の知らない言葉がたくさんあります。私はこれからも自分の経験や読書を通じて、たくさんの言葉を学び、言葉の意味をよく理解し、自分の心や気持ちにぴったりの美しい日本語が使える大人になりたいと思います。