特別賞
「私の守りたいもの」

美浜町立河和中学校2年

柴田 花しばた はな

 私の家は中学から少し遠いところにある。だから、学校に着くまでがとても大変だ。夏などは学校に着く前に服が汗でビショビショになるほどだ。不便なところもあるが、私はそんな通学路が好きだ。

 ある日、朝早く学校に行くと海面から顔を出した日の出が、まだ薄暗い空を照らしだしているようで、とても綺麗だった。気がつくと、もう太陽は海から離れ上へ上へと上がってしまう。私はこのような決まった時間にしか見えない景色が大好きだ。また、家に帰る途中で海や空の色を見るのが私のルーティーンになっている。暑い日は、絵に描いたような綺麗な形の雲が浮き、泳ぎたくなるぐらい海が真っ青で見てるだけで涼しくなってくる。部活帰りで遅くなった時は、夕焼けで空がピンクと紫に染まり、とてもロマンチックで疲れた体に染みてくる。このように、日々変化する空や海を見ていると、自然の存在はとても大きく人間には作ることの出来ない美しさというものがあるのだと実感した。そうしていると、自分の周りに起こった出来事や悩みが小さいことのように思えて、モヤモヤしていたこともすっかり忘れることが出来る。日によって変わる海や空、自然豊かなここだけの特別な道、全てが私の通学路に詰まっていて、毎日学校に行くのが楽しみでしょうがない。

 現在、通学路だった場所で工事が始まり道が変わってしまった。こういうことがもっと増えると自分の好きな通学路や景色が見られなくなってしまうかもしれない。全国的にも多くの「自然離れ」が進んでいるらしく、今後、健康や文化、教育など様々な面で深刻な負の影響を及ぼす恐れがあるとニュースで初めて知った。

 この「自然離れ」が私の身の周りでも起きてしまったら、町の魅力の一つである自然の豊かさに気づかずにいる人が増えてしまう。実際、私も中学生になるまでは、この町にしかない大切なものの存在に気づけていなかった。そして、どんどん町が変化していくにつれて、大切にしていくべきものが無くなっていってしまう。私はそれを防ぐため、私の町にしかない自然や景色を大事にしていこうと思う。また、自然の素晴らしさというものをこれから生まれる人達に知ってもらいたい。ただ、他人を通して気づかされるのではなく自分自身の目で見て感じてほしい。そうすればきっと、自分で発見することの大切さや「自然離れ」も無くなり、その場所にしかない自然を守っていけるから。