特別賞
「住みたい町」

武豊町立武豊中学校2年

安江 麗華やすえ れいか

 「じゃあ四時からでいいですか。」

 「大丈夫ですよ。」

 外で近所のおじさん達と私のお父さんの声が聞こえてきました。

 こうやって突然その日の夕方に近所の三家族と私の家族でバーベキューをすることが、しばしばあります。お母さんに聞いたところによると、私がまだ赤ちゃんだった頃から始まった近所仲間の行事だそうです。

 バーベキューが始まるとお父さん達はイスやテーブルを出して火をおこします。お母さん達は食材の買い出しをし、準備をします。子供達は外でドッジボールをしたり、鬼ごっこをしたり、なわとびをしたりします。子供達の年齢はバラバラで、今では一番上のお姉さんは二十歳を越え、一番小さい子でも小学校五年生になりました。社会人になったお兄さん、お姉さんも時間がある時は参加して一緒に遊んでくれます。私は一人っ子なので、この時間がとても楽しみです。

 こうしてお父さん達が外で立ち話をして突然決まって始まるバーベキューもありますが、毎年恒例のように決まってやることもあります。ゴールデンウィーク、お盆休み、そして小学校の運動会の日の夕方です。夕方から始まるバーベキューは、だいたい夜九時頃まで楽しみます。

 こうやって近所の人達と仲良くしていることは今では珍しいと言われます。バーベキュー行事だけではありません。母が体調を崩して突然緊急で病院に行く事になった時、まだ二歳ぐらいだった私を近所のおばさんが預かってくれて、夕飯やお風呂まで入れてくれたこともあります。また、二年前、コロナで突然学校が休校になり、沢山の課題を出された時、大学生のお姉さんが外で小学生を集めて勉強会を開いてくれました。

 母が腕を骨折して車の運転ができない時、近所の人が病院まで乗せて行ってくれたこともあります。

 都会で隣近所が誰だかわからないまま住んでいるこの時代に、こうやって昔みたいに困っていると近所の誰かが助けてくれるこの町に、私は住んでいてとても幸せだなと思います。

 このような近所のみんなとのきずなを今だけでなく、これから私が大人になってもずっと続けていけるようにしたいです。そして、みんなが助け合うことができて、誰もが住んでみたいなと思えるような町にしていきたいです。