特別賞
「出会いの大切さ」

武豊町立武豊中学校1年

長谷部はせべ ずな

 私にとって人との出会いというものは、生きている中で必要なものであり、また、毎日どの瞬間でも可能性があるものだと思っている。そして、出会いがあるから、人と関わることの楽しさや嬉しさも感じられると言える。これは、私の大切な出会いの話である。

 小学校の前に住む私は、小学三年生頃にある大きな出会いがあった。当時の私は、登校班で登校していたため、毎日決まった時間に家を出て、母に見送られ、同じ時間に行き来する車があれば覚えていった。その中でも、毎朝その時間に学校へ出入りする配送業者のトラックは特に目に入った。毎日見ていたから、いつからか運転手のおじさんに親子でペコッとあいさつするようになった。これがトラックのおじさんとの出会いである。お互い名前もわからず、ただ毎朝学校に行く私と、学校に行き来するトラックのおじさんということで出会えた私たち。それでも、その出会いは友達のようにならなくても続き、小学校を卒業するまでとなった。その間、感染症での自宅待機、学年や学級閉鎖、行事による代休もあり、そんな日は、家の二階の窓からあいさつをした。おじさんも気づいてくれて、わかるように手を振ってくれた。ある日は、時間がギリギリな朝もあり、玄関先にあわてて出れば、その気持ちが伝わったのか、そこには優しい笑顔と共に大きく手を振ってくれるおじさんの姿があった。

 そんな毎日の中で、初めておじさんの声を聞いた日は忘れられない。ある年の夏休みに入る前、いつものようにあいさつをすると、「二学期、また元気に会いましょう。」と、トラックの窓を開けて声をかけてくださった。とても嬉しい瞬間だった。そして、終わりがないように思えた毎日に私の卒業はきた。最後になるのかなと思いながら、伝えたいものがあった。それは、今までの感謝である。その日はトラックのおじさんが、「卒業だよね。卒業おめでとう。武豊中学かな。また、会えるね。」と、声をかけてくださった。学年を知っていてくれたことの驚きと、中学へも配送している事実や、卒業に対する言葉への嬉しさに包まれながら、「ありがとうございます。毎朝ありがとうございました。」と、伝えられた。

 この出会いは、外から見れば決して友達になるような関係とは違うが、出会いの大切さとしては何一つ変わらない。中学生になった今も、朝のあいさつは続いている。登校時間の変化により、あいさつする場所は玄関先から道路沿いとなったが、トラックのおじさんは変わらず、中学生の私も変わらない。私が言いたいことは、人との出会いは、出会い方もそれぞれで関係性もいろいろだが、どの出会いも大切にすればするだけ自分の宝になるということ。

 これからも、多くの人との出会いを大切にしていきたいと思う。