日本福祉大学学長賞
「それぞれ違う『あたり前』」

大府市立大府中学校1年

木田きだ あや

 あたり前とはどのようなことだと思いますか?私は、誰でも出来る普通のことだと思っていました。

 私の姉は、右半身に軽度の麻痺があり、私たちが思っているあたり前と姉の思っているあたり前は違います。私たちには両手に同じくらいの握力があたり前にあります。しかし、姉は左は人並みにありますが、右は全然ありません。他にも、私たちは三十分でも一時間でも長時間歩くことが出来ますが、姉は医者から長時間歩くことを止められています。

 姉は体幹に機能障がいのある人が着ける補助器具を足に使用しています。その補助器具が重いためジャンプや走ることが難しいです。そのため、私たちがあたり前にやっている体育が思うように出来ません。

 姉はよく私のことを「羨ましい。」と言っています。姉は電車を使うと席を譲られるのが嫌だとも言っていました。特別扱いをされるのではなくみんなと同じ扱いを受けたいと話しています。また、「みんなのあたり前を私のあたり前にしたい。」と話していました。

 私は、姉が障がいがあるからこそ考えたことがたくさんあります。障がいのある人がされて嫌なことは同情されることかもしれません。私は、姉の気持ちを考えずに「つらいよね。」とか「かわいそう。」と言ってしまったことがあります。その時姉は「私の気持ちもわからないのに何を言ってるの。」と怒り、私たちはけんかをしてしまいました。

 この経験から私は、自分に障がいがあったらどう感じるか想像しました。同情されるのは嫌だと思うし、他の子のことが羨ましく思うこともあると思います。それでも、姉は、自分の障がいと上手く向き合いながら好きなことを見つけて頑張っています。私はそんな姉のことをとてもかっこいいと思っています。

 姉との生活の中で、あたり前とは、その人の考え方や環境、状況によって変わってくるものだと思うようになりました。自分にとってのあたり前は相手にとってのあたり前ではないかもしれないことをたくさんの人に知ってもらいたいです。そうすることで、姉と同じように障がいのある人だけでなく、高齢者の方や思うように学校に行けない人など生きづらさを感じている人たちにとっても安心して楽しく暮らすことの出来る世の中になっていくと思います。

 すべての人に優しい世界になるといいなと私は思います。