半田市長賞
「あいさつの意味」

半田市立成岩中学校3年

近藤こんどう 

 「いってきます」、「いってらっしゃい」これは私が大切にしている言葉です。  私は小学校一年生のとき父が事故で亡くなりました。父が亡くなる日の前日に些細なことで言い合いになってしまいました。翌朝、父が仕事に出かける時、父は「いってきます」と声をかけてくれましたが、私は「いってらっしゃい」という言葉を素直に言うことができませんでした。その夜、父が仕事に出かけた後に会社に向かう途中で事故に遭い、亡くなったと聞きました。母から父の訃報を聞き、とても悲しいという気持ちと同時に毎日言っていた「いってらっしゃい」を言うことができなかったことにすごく後悔しました。また、あのときになぜ素直に「いってらっしゃい」と言えなかったのだろうと自分の未熟さを感じました。そしてあの時、「いってらっしゃい」を言っていれば父の人生を一秒でも変えることができ、父は事故に遭わなかったかもしれないと思いました。たとえ同じ結果だったとしても「いってらっしゃい」という言葉を父に言っていれば、後悔の大きさが違ったのかもしれないと思うと今でもとても後悔しています。

 私は今は家族に「いってきます」、「いってらっしゃい」というあいさつは「今日も無事に家に帰ってきて、また笑顔で会いましょう」という思いを込めて必ず言ってます。

 また、「いってきます」、「いってらっしゃい」のあいさつ以外にも日々の「おはようございます」、「さようなら」、「ごめんなさい」、「ありがとうございます」などのあいさつを家族や友達、先生方に自分から言うことを心がけています。

 父とお別れになった小学一年生では、ただ悲しい思いが大きく、父が教えてくれたことに対して考える余裕がありませんでした。中学三年生となった今、父は私に優しくて、たくさん関わってくれて、いろんなことを教えてくれたのだと気づくことができました。

 日々の生活の中で自分が納得がいかないことや自分の思い通りにならなかったとき、自分の行いが正解なのか判断でき、冷静な感情で対応できるように日々努力していきたいと思います。

 常に笑顔であいさつを行い、人と人を繋ぐ一番のコミュニケーションである「あいさつ」をこれからも大切にしていきたいです。

 私はこの先、経験したこの学びを今後の自分の将来に生かし、困っている人、悩んでいる人の役に立てるようになりたいです。