
「成年後見制度と企業人の役割 〜第一人称としての認知症を考える〜」
虐待や悪徳商法などの増加により、認知症患者の権利擁護が国の問題として大きく取り上げられている。
その対策として成年後見制度が存在するが、いまだ利用者は少ない。
成年後見制度では、これまで財産管理の面が強調されてきたが、身上監護(生活支援)の要素も大きい。
従来の法定後見、補佐人・後見人とともに、改正により任意後見、補助人が加えられ、
認知症患者の権利擁護の切り札となっている。制度利用のための環境整備も進められており、
今後、利用者の増加が期待される。当面の課題はそのチェック機能だが、
第三者評価機関等の設立も検討されているところだ。
今後の展望として、企業や企業人に対する期待、特に団塊の世代に対する期待は大きい。
団塊の世代がリーダー的な役割を担うことにより、市民後見人も含めた社会的貢献、
さらには職場と地域と家族をつなぐ、認知症患者やハンディキャップを持った人々への新たな支え合いの循環が期待される。