特別賞
「東日本大震災で思うこと」

南知多町立内海中学校 3年

中野 智菜美

あの日私は日本はどうなってしまうのだろうと本気で思った。

三月十一日、東日本大震災。地震や津波で多くの尊い命が失われた。約一週間はテレビを見てもあのすさまじい津波の破壊力と対面するだけであった。悪夢のようだった。

そして、原発の問題。日を追うごとに解明され公表されていく真実。はたして原発というものはこの日本という国に必ずしも必要であろうか。

私はこう考える。この日本という国に原発は不必要だと。六十七年前の夏、日本に二発の原子爆弾が投下された。数えられないほどの犠牲者であふれかえった町は、悪夢のようだっただろう。あの時だれもが原子爆弾を嫌い、憎んだに違いない。そして私たち、現代に生きる人々にもその恐ろしさは伝えられてきた。それなのにどうして、今私たちは原発に頼り、助けられているのであろうか。たしかに原子力は私たちの生活を支え、便利にしてくれたのかもしれない。しかし、私たちの生活を破壊したこともあったのだ。その恐ろしさを知る唯一の国であるのに。私は思う。今こそ日本は変わらなければいけないと。今回起きた原発事故。毎日のようにニュースや新聞でその被害は報告されている。前にある専門家が、「福島原発のまわりの土地はもとに戻るのに少なくとも百年はかかる。」と述べていた。衝撃的だった。そのことを聞いたときふと、原発の近くのインタビューを受けていた農家の人の顔や言葉が頭をよぎった。泣きながら話をする農家の人。私たちはその涙をあと百年見なくてはならない。その涙をあと百年受けとめていかなければならない。しかしまだきちんとした情報をだれも教えてくれない。この終わりの見えない苦しみをかかえていかなければならないのか。そして、原発は私たち人間だけでなく、動物たちの生活までも変えてしまった。今では、家畜だった豚や牛はやせこけ、放射線の被害を受けている土地を歩きまわっている。今自分たちがどのような状態にさらされているのか、わからずに。

私は原発について、今まで考えたことも無かった。この東日本大震災で津波・地震はもちろん、原発についていろいろ考えた。正直私は、原発について長所・短所を含め、知らないことが多すぎる。それは果たして私だけだろうか。この機会に国はきちんとした情報を隠さず伝えてほしい。そのうえでこれからの日本には原発は必要なのかを一人一人が考え、決めていくべきだと思う。でなければ、東日本大震災は単なるできごとだけで終わってしまうと私は思う。