半田市教育委員会賞
「命のリレー」

東海市立三ツ池小学校 6年

妹尾 康平

ぼくに“命のリレー”という言葉を教えてくれたのは、小学二年生のときの校長先生でした。

ぼくは虫が大好きで、近くの公園や学校でカブト虫をとっては、家の飼育ケースで世話をしていました。多いときは三十匹くらいいたカブト虫も夏が終わるころにはどんどん死んでしまい、とってもさみしく思っていました。そんなとき、
「秋になるとカブト虫がいなくなっちゃうからいやだ・・・。」
という話を校長先生にすると
「カブト虫たちは、卵を生みましたか?命は受け継がれるものです。命のリレーも大切にして下さい。」
と教えてくれたのです。ぼくはこの言葉を聞いたとき、ものすごいしょうげきを受けたことを今でもはっきりと覚えています。ぼくは、角があるカッコウの良い成虫のカブト虫にしか目を向けていなかったことに気付かされたからです。カブト虫には、卵、幼虫、成虫の時期があります。すべての時期の面どうを見てこそ“育てる“ということになるんだと気付いたのです。

それ以来、ぼくはいつも“命のリレー”が出来るようにがんばって生き物を育てて来ました。今年カブト虫は、四匹成虫になりました。メダカは、3代目が卵からかえりました。カマキリは、卵のまま冬をこし、六月にたくさんの子どもたちがぼくの家の庭から旅立って行きました。ぼくは、メダカやカマキリたちが卵からかえったり、ちょうやとんぼが羽化すると、うれしい気持ちと満足感でいっぱいになります。

こうして虫たちの“命のリレー”を繰り返していくうちに、ぼくは一つの発見をしました。それは、ぼくの命もリレーにより受け継がれたものだということです。岡山のおじいちゃん、おばあちゃんからお父さんが生まれ、加木屋のおじいちゃん、おばあちゃんからお母さんが生まれた。そして、お父さん、お母さんからお姉ちゃんとぼくが生まれた。ぼくの命は、ぼくだけのものではなくて、たくさんの人たちから受け継がれ、みんなの思いがたくさんつまった“大切な命”であるということです。

ぼくの命、友達の命、虫たちの命、動物たちの命、みんなみんな受け継がれて来た大切な命ばかりなのです。これらの命はまた、未来へバトンを渡して行くことになるのです。そのためにも、ぼくは“命のリレー”をこれからも大切にしていきたいと思っています。