特別賞
「インターフォンからはじまる優しさ」

知多市立岡田小学校 5年

浅井 栄真あさい えいしん

「すみません。行ってきます。」
母が頭を下げて、仕事に行きました。朝、暴風けい報が出る中、ぼくと姉は、お弁当を持って近所の家に預けられました。朝、電話がかかってきて、
「うちにこりゃええよ。」
と言ってくれたのです。

預かってくれた家には、姉と同い年の女の子とおばあちゃんとおじいちゃんがいてくれました。ぼくの両親も、この家の両親も仕事に行ってしまいました。

ぼくは、おばあちゃんといっしょにゲームのエアホッケーをしました。空気が下から出てきて、ゲームセンターにあるエアホッケーが、小さくなったようなおもちゃで、とても楽しかったです。それからテレビを見ながら、野菜入りのマスカットジュースを飲ませてもらいました。姉は二階で友達と遊んでいて、ぼくはおばあちゃんとおじいちゃんと過ごしました。けい報が解除されて、おばあちゃん達とお昼ごはんを食べて、学校に行きました。

この間も、母が洗濯物を干しっぱなしで出かけて、雨が降ってくると、おばあちゃんがインターフォンを鳴らして、ぼく達に教えてくれました。

他にも、ななめ横のおばさんも、母が二階のベランダに布団を干しっぱなしにしていて、突然の大雨が降っているにも関わらず、忘れていた時に、雷が鳴る大雨の中、傘をさしてインターフォンを鳴らしてくれました。

昨年の夏にも、庭に生えているサトウキビが台風で家の方に倒れて来ていました。近所のおじいちゃんが、インターフォンを鳴らしてくれて、母といっしょに棒をさして、ロープでしばってくれました。

ぼくは、小さいころに名古屋から、この知多市の岡田に引っこして来ました。岡田の春祭りの前夜祭のたいこの音が胸にひびいて、こわくて、母にくっついていた思い出があります。この前夜祭はちょうちんに火をつけて、たいこや笛のおはやしといっしょに、岡田の町を神社まで歩きます。近所のおばあちゃんが、小さいぼくの分まで、ちょうちんを準備してくれて、普通はちょうちんの中は、ロウソクに火をつけるけれど、
「まだえいちゃんにはあぶないよ。」
と言って、小さいかい中電灯を入れてくれました。

ぼくは、引っこしてきて、近所の人達に何度も何度も助けられ、たくさんの近所の人達の優しさが、とてもうれしかったです。

ぼくはこれから、近所の人達を助けられる人になりたいです。もしも災害や、何かあったら、ぼくがすぐにかけつけたいです。そして、近所の人達の、ちょっとしたことにも気が付いて、インターフォンをおしてあげられるようになりたいです。そのために、もっともっと強くなって、優しさの恩返しが出来るようになりたいです。