半田市生涯学習推進協議会賞
「繋がり」

知多市立東部中学校 3年

下河 巧しもかわ たくみ

皆さんは、家族と過ごす大切な時間がありますか。長期の連休になると、僕の家族は車中泊をするのが恒例のイベントとなっています。四国を一周したり、多くの県を巡ったりしました。その中で、僕の人生の中でも、大切な出会いがありました。

それは、大雨の中、栃木県の道の駅に着いたときのことです。二十歳くらいのお兄さんが、地べたに座って電話をしていました。話の内容が聞こえてきたのですが、どうやらバイクで一人旅の中、大雨のため道の駅に雨宿りに立ち寄ったが、営業時間外だったのでお店もやっておらず、空腹で困っている様子でした。僕は、心配になって、朝食べるつもりだったおにぎりを両親にあげても良いかと相談し、父親と一緒にお兄さんに声を掛けました。「良かったら食べてください。」と渡したところ、喜んでくれました。今夜はお互い道の駅に泊まることにしたので、翌朝までの長い時間、色々な話をしながら過ごしました。お兄さんは、大阪在住の大学四年生で、卒業前に日本一周を成し遂げたいと、北海道から下っている途中だったそうです。朝になり、別れ際に、三日後に愛知に寄るので、その時にまた会いましょう、と言われました。旅行から帰り、一日が過ぎた頃、突然母親から、今夜お兄さんと食事をすると言われ、社交辞令の言葉だと思っていたので驚きました。

いざ会ってみると、古くからの知り合いのように、話が尽きませんでした。その後、SNSを通じて、お互いの近況を報告したり、大阪に家族旅行に行った際には、一緒に夕食を食べたり、僕の家に一泊したり、僕がお兄さんの実家に泊まらせてもらったり、今では四年の付き合いになります。

六月十八日、いつものように学校へ行くと、朝の会の時、先生から、大阪で震度六弱の地震があったと聞きました。その時に頭をよぎったのはお兄さんでした。その日は一日中心配で、早く家に帰りたかったことをよく覚えています。家に帰ると、母親がお兄さんと連絡をとったそうで、無事だということを聞きました。心配だったので、僕も連絡しました。仕事から帰った父親も、真っ先にお兄さんが無事だったことを話したので、古くからの知り合いという関係から、家族のような関係になったと実感しました。

最近感じるのは、人との出会いは、些細なことから始まる、ということです。困っている人の助け方や、見ず知らずの人でも、会ううちに信頼関係を築いていくことを両親から学びました。世間では、隣人に対して無関心だったり、困っている人がいても見て見ぬふりをする人がいますが、僕はそんな人間になりたくないと思っています。困っている人を助けることで、いざ自分が困った時に、素直に「助けてください」と言えると思います。人は一人では生きていけない。僕にはこれからたくさんの出会いが待っているので、一瞬一瞬を大切に生きていきたいと思います。大切なことを教えてくれた両親に感謝しています。