日本福祉大学生涯学習センター長賞
「人生劇」

東海市立横須賀中学校 2年

谷本 唯衣たにもと ゆい

「真面目」。
あなたはこう言われると嬉しいですか?私はまったく嬉しくないです。だって、「真面目」という音には「おもしろくない。」とか、「つまらない。」という意味がこめられていたから。

私は小さい頃から「真面目だね。」、「良い子だね。」と言われて育ってきた。でも本当は違う。人見知りでまわりの子に話しかけれないから本を読んでいただけ。嫌われたくないからまわりに合わせていただけ。それだけだった。けれど、そうしている内に、私は本当の自分が見えなくなってしまった。友達と話していても、おもしろくないし、つまらない。でも、嫌われたら自分は一人ぼっちになってしまう。それが嫌で愛想笑いをした。自分の気持ちを隠し、「楽しい」を演じていた。それはまるで人形のようだった。

あるとき、人気者の子と遊ぶようになった。私はその子がとても羨ましかった。いつも周りに人がいて、自分のやりたいことができて、まさに理想の自分と一致していた。だから私は、理想の自分になるために彼女の真似をした。今、思い返せば馬鹿らしいと思うが、当時の私にとっては、それだけが救いだったのだ。孤独から、人形から脱出するための希望の光。そう思っていた。けれど違った。私はその子の真似をすることで自分が失われていることに気付いた。自分の服を選ぶときも、遊んでいるときも、彼女ならどうするかばかり考え、いつの間にか私は自分ではなく彼女を演じるようになってしまった。自分が何者なのか、自分が何をしたかったのか分からなくなってしまった。私は初めて『挫折』というものを知った。

その後、私は学校へ行けなくなった。自分がこんなにも弱かったなんて知らなかった。そんな中、私はある曲の歌詞に出会った。

「※挫折を知り、別れに泣くそんな時も、いつも君なりの大志を抱いて、夢の向こう側へ駆け抜けてゆけ」

私はこの歌詞を聴いて、涙があふれた。「あなたはなぜ止まっているの?」と、そう言われた気がした。私は私を演じる。そう心に決め、私は未来への一歩を歩み出した。

そして、私は今たくさんの友達に囲まれている。私は始めに「真面目」と言われて嬉しいかと訊きました。答えは人それぞれでしょう。記したとおり、私は「真面目」と言われても嬉しくはありません。けれど、この言葉にはもう一つの意味がある。
「真面目=(イコール)私」
私はよく「真面目」と言われる。けれど、それは嫌なことではない。なぜなら、それが私の役柄なのだからー。

人生は大舞台だ。舞台の上に立つ「主人公(わたし)」はどんな役(ひと)にだってなれる。楽しい人にも、つまらない人にも。この舞台をどんなものにするのかは主人公(わたし)次第だ。だから私は、幕が閉じるまでは自分らしくいようと心に決めた。

※「Boys be Ambitious‼」(Hi-Fi CAMP 2012 ポニーキャニオン)