特別賞
「僕の願い」

知多市立八幡中学校 2年

冨田 泰地とみた たいち

僕には、会って想いを伝えたい人がいる。それは五月まで指導してくれた水泳のコーチだ。もう、その人に会って想いを伝えることはできない。

僕は幼稚園のころから水泳をやっている。小学三年生の時に選手初級になり、今では選手上級で練習できるまでになった。練習は毎日一時間半から二時間あり、泳ぎはもちろん水泳以外のことでもたくさん怒られ、注意された。だから、コーチのことは家族のように信頼し、尊敬している。

コーチが僕たちの話をちゃんと聞いて、「ジュニアオリンピック行くぞ」と言ってくれたのがとても嬉しく、きつい練習のときでも「がんばるぞ」という気持ちになり、励みになった。僕にとっては、運命のコーチで「このままずっと指導してほしいな」と思っていた。

しかし、大変な出来事が起こった。今年の五月にコーチがプールで突然倒れてしまった。そして救急車で運ばれた。僕は「しばらく休んだら、戻ってきてくれるだろう」と思っていたが、六月に僕たちに何も言わずにいなくなってしまった。

僕は、この出来事に対して、驚きとショックで、とても悲しかった。同じプールに通っている人たちも、みんな泣いていた。

もう二度と会えないと分かっていても、うまく気持ちがコントロールできず、落ちこむ毎日で、もうコーチがいないなら、練習に行く意味がないと思っていた。しかし、この作文で想いを形にしてコーチに伝え、前に進みたいと思う。

コーチに会えなくなってから、コーチに会いたくて話したくて、泳いでいてもコーチに言われたこと、話したことを思い出して辛い。急に会えなくなってさびしい。でも「そんな弱い心じゃだめだろ」っていうのもわかる。コーチに指導してもらい、毎日楽しく、たくさんのことを学んだ。

コーチのすごいところ、一つ目は誰にでも公平に平等に接する。怒る時もほめる時も普段の会話も。二つ目は何事も全力で取り組む。どんな小さな記録会でも、大きな大会も全力で。ストレッチも手を抜かない。そして、何より僕のことを信じてくれたところ。

まだまだ出来ないことだらけでずっとコーチと一緒だと信じていたから、今はつらい。でも、少しずつ前を向きたい。新しいコーチのもとでも練習をがんばり、コーチに報告できるよう、絶対ジュニアオリンピックに行く。見ていて下さい。今までありがとうございました。