特別賞
「小さくても同じ命」

阿久比町立阿久比中学校 1年

舩田 咲江

「子供が泣きやまないから」とか「言う事を聞かないから」と、自分の子供を死ぬまで殴ったり蹴ったりする親がいる。私はそこまでやる大人の気持ちは分からない。うちにも六ヶ月の弟と二才の妹がいる。お母さんが忙しい時、私は弟の子守りを頼まれる。私がテレビを見ている時や本を読んでいる時でも、弟は泣き出して、私は中断して子守りをする。

一度、「めんどうだな」と思って、弟を抱っこした。弟は全然泣きやまず、ミルクも飲まない。私は「テレビが見れないじゃん。早く泣きやんでよ」と思って、大きな声で、「何が気に入らないの」と、オムツの上から強めにたたいた。一瞬泣くのをやめたけど、前より大きな声で、手や足をバタつかせて泣き出した。お母さんが代わってくれて、やっと落ち着いて遊び出した。笑ってる弟を見て「笑ってる時はかわいいのになぁ」と言ったら、「そうだね。赤ちゃんは泣いてしか自分の気持ちを伝えれないんだから、泣く事にイラついてたら、たまらんよ」と言われた。私は、ハッとした。言葉のしゃべれない弟が気持ちを伝えようと泣く事はあたり前だ。それなのに私は怒ってたたいてしまった。私を見て笑ってる弟に「ごめんね」と謝った。

こんな事もあった。二才の妹が私の机でイタズラをしていた。私は怒って、泣く妹を引きずり別の部屋に連れて行った。妹が「姉ね」と言ってきても、無視して机の上を片付けた。

片付け終って、お母さんと妹の所に行ったら、妹が頭をペコリと下げてきた。「イタズラするって事は、興味が出てきたから。興味を持つ事は、それだけ成長した事」と言われた。今、妹はイタズラしながら成長してるのだと思った。おばあちゃんはおじさんに「怒らないで叱ってよ」と言われたそうだ。おばあちゃんは意味が分からず聞き返したら「怒るのは自分の気持ちだけで言う事。叱るのは相手の事を思って言う事」だと説明されたらしい。何となく分かる気がする。私が弟に対してとった行動は怒るなんだ。自分の時間を取られてイライラして、泣きやまない弟を怒ったんだ。妹に対しても、ムカッとして、ただどけただけ。怒ったんだ。「大事な物だからさわらないでね」と言葉をかけてあげれば良かったんだ。私も将来母親になったら、子供を怒るのではなく、叱る事ができる親になりたい。子供に暴力を振う親は、みんな「しつけのためにやった」と言う。死ぬまで怒る事がしつけなのだろうか。子供の成長のために目をつぶる事も「しつけ」として必要なのではないだろうか。泣くというあたり前の行動を、もっと理解してあげないといけないのではないだろうか。その子供は、暴力を受けなくてはいけない程、悪い事をしたのだろうか。小さくても、大人と同じ大切な命。怒るのではなく、叱って子供をしつけてほしいと思う。