半田市教育委員会賞
「地球の悲鳴が君に聞こえるか」

常滑市立南陵中学校 2年

澤田 将志

「今、海が泣いている。山が泣いている。」

この現状に僕たちは気付かねばならない。

僕たちの住む日本列島。周りは海に囲まれ、国土の約七割が山である。昔から日本人はこの山と海に頼って生活してきた。山から木を切り、家の骨組みである柱や家具などの生活用品として利用し、海では魚貝類などを採り食材として食してきたのだ。

しかし、今の日本ではこの仕組みが成り立たなくなっている。僕の住む地域でも宅地を造るため、あまりにも開拓が進み、山々は次々と姿を消していった。遂に今では山という山はほぼなくなってきている。これにより山の動物たちは行き場を失い、不自由な生活を強いられているのだ。このような人間の身勝手な行動は一部の動物たちだけでなく、地球の生態系を壊す原因の基になっている。

特に森林伐採による悪影響は海に大きく表れている。

森林では落ち葉や枯れ枝、動物の死骸が微生物により分解され、岩石と混じり合い、湿った腐植土となる。この腐植土は常に湿り、雨が降るとスポンジのように雨水を吸収し、地下にしみ渡っていく。また腐植土には植物にとって不可欠な窒素、リン、ケイ素が含まれ、これらは腐植土から地下水に溶け川へと流れ込み、海へと運ばれる。そこで植物性プランクトンが育ち、これを動物性プランクトンや小魚が食べ、またそれを大型魚が食べる。この繰り返しによって豊かな海がつくられる。実は、豊かな海は豊かな山によってつくられているのだ。山が消えれば腐植土も消え、雨は地表で土砂と共に川へ流れ、結果として豊かな海が消える。以前、新聞で漁師の人々が山に木を植える活動をし始めたという記事を読んだことがある。なるほどと思った。

ところで、僕は釣り好きで週末に部活がないと、よく出掛ける。その時僕は大好きな海のことを考えて行動する。例えばコマセは必要以上に買わない。よく、余ると海に捨てる人がいるが、余ったときにはポリ袋に入れ、ゴミとして捨てる。また、ゴカイを買うと必ず入っているバーミキュライトも海に捨てず、土に返す。そして、なるべく海にゴミを持ち込まず、落ちていたら拾う。本当に小さなことだが全ての釣り人が協力すれば、水面に油一つ漂わず、砂浜にはゴミはなく、釣り針や糸に絡み死んでいく鳥もいない。まさに海と人との共生が実現できると思う。

木を植えて海の生き物を増やすことも一つだが、自然の「環」を乱さぬよう、僕たちが今できることをしていきたい。

僕たちの住む地球は全てが循環しながら生きている。この循環は一度壊せば取り返しのつかないことになるだろう。このことを頭に置き、地球に住む一員として自分に今できることを精一杯していこうと思う。「今、海が泣いている。山が泣いている。」と言わなくて済むように。