日本福祉大学学長賞
「ホタルと生きる」

阿久比町立阿久比中学校 1年

竹内 琴音

今年二月、常滑沖に中部国際空港が開港し知多半島にも国際化の波が押しよせ、周辺道路や、環境がめざましく変化しました。

私の住んでいる阿久比町も道路の拡張工事や、マンションの建設が進み、車の交通量も急増しました。便利の裏側には、自然破壊が隠れていると言われますが、このあたりも例外ではありません。

米作りのさかんな水田の多いこの町では、初夏になると、ホタルを見ることができます。小学生の頃は、毎年ホタル調査を行って、ホタルの生息分布を調べていました。幻想的な光を数えるのは、私の夏の楽しみにもなっていました。しかし、近くに大型スーパーが建ってからは、夜でもまるで昼の様な明るさで、近くの田んぼでは、ホタルの観察すらできない状態でした。

また、調査に来るのに、車のハザードを点けるとホタルが寄ってくるというので、誰もが車で調査に来たことがありました。静かな夕やみの田んぼの道わきに、ハザードランプが連灯し、ひどい人はエンジンをかけ、カーラジオを鳴らして調査していました。
「ホタルの事を考えたら、こんな調査の仕方できないはずだよね。うるさいし空気が汚れるし。」
と、怒りを覚えたものでした。妹も、
「車が動く時、ホタルふんづけられちゃう。」
と、悲しそうでした。

母が子供の頃は、近くの池に数え切れないほどのホタルが飛びかい、その姿が水面に映って、とても美しい光景だったと聞いています。三十年の月日は、私達の生活環境を良くしてくれましたが、ホタルの住める環境を壊してしまいました。

農業の合理化が進むにつれ、化学肥料を使用し、生活が豊かになった私達は、ゴミを捨て、生活排水を汚し、私達の勝手な行動がホタルの住み家を奪ってしまったのです。きれいな水と、きれいな空気の中でしか生きられないホタルを守っていくためには、生活の一部分から改め、私達の意識を高めていかなければいけないと思います。

今、阿久比町では、米作りに農薬を使用しないれんげ米を作ったり、小学校やふれあいの森でホタルの養殖を行ったり、ボランティアでホタルの餌の貝を採ったりと、ホタルを守るための活動もさかんに行なわれています。そのお蔭で、今年も近くの田んぼでホタルを見る事ができて、ほっとしました。

今後ますます周辺の環境は変化して、今よりホタルが住みにくくなると思いますが、便利になっていく分、自然を守りホタルを守るという私達の意識を、決して無くしてはならないと思います。

この気持ちを無くさない限り、私が大人になった時も、この町でホタルの光は輝き続けてくれると信じています。