特別賞
「僕は僕だ」

*ご本人の意向により学校名・氏名の掲載は控えております。

 「女の子なんだから可愛くしなさい」僕が言われ続けた言葉です。僕はもう中学三年生です。六年間ぐらい性別について悩み続けています。僕の家は二世帯で、母の両親と一緒に住んでいます。もしかしたら、母親は僕の性別について気づいているかも知れません。でも僕はまだ家族にカミングアウトができていません。

 僕は小学三年生の頃からかっこいいものに興味があります。プリンセスモノではなく、少年向けアニメを好んで見ていました。首元まであった髪の毛をベリーショートにしたり、小学四年生には一人称を「俺」に変えたりしました。家族には当たり前のように猛反対されました。僕が小さかった時はおばあちゃんが服を買ってきてくれました。ただ僕があまり気に入らず、お気に入りの服しか着ませんでした。そして、下着が小さくなった時や、靴下に穴が開きそうな時など、今でも一番気にかけて僕のために下着や靴下を買ってきてくれます。

 かっこいい服を着るにあたって女性の体だとどうしても胸が目立ちます。最近は胸をつぶすための『ナベシャツ』というものがあります。あまり日本には浸透されていないため、簡単に手に入れることができません。家族と一緒に住んでいる以上、洗濯をお願いすることが毎日ですし、カミングアウトしていないため購入することが難しいです。

 中学生になり、初めて関わる人も増え、僕の性別に違和感を感じる人も多くなりました。クラスメイトや後輩に「なんで俺って言ってるの?」と言われることもありました。ただ、僕にとっては当たり前なことでなんて返したら良いか分からず、戸惑ってしまいました。

 僕は性別のことで、差別やいじめ、仲間はずれにされてきました。そこで僕はたくさんのストレスが重なり、中学二年生の夏、楽しいことも楽しくなく、適応障害になりました。満腹の状態なのに感情に左右され、食事をしてしまう症状のエモーショナルイーティングになりました。

 そんな時、僕は『青いブレスレット運動』を知りました。青いブレスレット運動とは、自傷経験がある人、見たことがある人や共感してくれる人が左手に青いブレスレットをつける運動です。青いブレスレットでなくても、ミサンガやヘアゴム、時計でも青系のものなら良いということです。青いブレスレットには『一人じゃない』という意味が込められています。だからもし、皆さんの周りに自傷経験のある人がいるのであれば、青いブレスレット運動に取り組んでほしいなと思っています。

 このようなことからまず、LGBTQをたくさんの人に知ってもらい、性別について悩んでいる人がカミングアウトしやすい環境を作る。次に、日本国全体がLGBTQが当たり前なことになるような社会にしていきたいです。