特別賞
「正しく知る」

阿久比町立阿久比中学校2年

伊藤いとう 由奈 ゆな

 夏休み最後の日曜日の昼に、家の近くの公民館へ出かけました。目的は「こども食堂」です。八月初めに、地域の回覧板でもチラシが回ってきていました。しかしその時は、自分には関係ないや、という気持ちだったので、全く気にも留めませんでした。

 「こども食堂」は、名前だけは聞いたことがありました。そして何となく、ここに行く人は、子ども限定で、しかも少し生活に困っている子たちが行くところ、と思っていました。

 そんな考えだった私が、「こども食堂」に行ってみることになりました。私が住んでいる地域のこども食堂は、一カ月に一回位のペースで、いろんな地区の公民館などを借りて活動しているそうです。母の友人が、このこども食堂の運営ボランティアとして活動していて、「今度、近所の公民館でやるから、ぜひ一度来てみて。」と、誘われたことが、きっかけです。

 十一時開場で、いざ会場へ行ってみると、既にたくさんの人が来ていました。大人三百円、子どもは無料です。母は大人の分三百円と寄付金も一緒に渡していました。この日のメニューは、タコライスとお吸い物でした。ご飯を盛る係の人、トマトやレタス、味のついたひき肉などのトッピングをのせる係の人、汁物をよそう人、席を案内する人など、たくさんの人たちが働いていました。大人だけでなく、子どものボランティアさんたちもいました。

 席に着くと、こども食堂についての紹介などが書いてある紙が目に入りました。その紙には、私がずっと「こども食堂」というものに対して思っていたことの答えが載っていました。これを読んで、私のように間違った先入観を持っている人が、まだまだたくさんいるんだな、と思いました。

 またその紙には、みんなで一緒に同じものを食べて「こ食」を防ぎたい、とも書いてありました。「こ食」には「孤食・個食・小食・固食・濃食・粉食」があるそうです。私には「小食・固食」が当てはまりました。今回のタコライスも、もし自分の家で同じように出されたとしたら、あまり食べたいと思わなかったと思います。理由は、タコライスを食べたことがない、量が多い、苦手な野菜がてんこもりだったからです。

 しかし、こうやって皆のために一生懸命働いているたくさんのボランティアさんたちを目のあたりにし、また家族連れや友人同士で楽しそうに食事をしている姿をみていたら、いつの間にか自分も完食していました。なるほど、こういうことなんだな、と思いました。

 「まずは、こども食堂とはどういうものなのかということを実際に地域の人に体験してもらい、知ってもらいたい。」 母の友人の言葉です。自分の思い込みだけで判断するのではなく正しく理解することの大切さを教えてもらった一日でした。