◆同窓会員リレー随想

■ 第7回 ■
作業療法学科1期生  太田 崇
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私は高浜専門学校の1期生として入学し、3年で卒業、いろいろあって一年遅れで臨床に出ました。 初めに就職した法人は3次救急を担う急性期病院で、中枢疾患やハンドセラピィ、併設の老健でも作業療法を計7年間経験させていただきました。 しかし急性期や老健での作業療法を経験する中で「胸を張って本当のリハビリテーションができているといえるのか」と疑問を徐々に抱くようになりました。 入院や入所の患者さんに毎日個別訓練を繰り返しても、在宅生活へ結びつかず、通所の利用者さんであっても本来望んだ生活ではないことに無力感を感じ仕事に前向きになれない日々が続きました。
 
もっと介護予防に作業療法士がかかわるべきであると考え、日本福祉大学の社会福祉学部に編入し、武豊町の介護予防「憩いのサロン」事業の調査やボランティア育成に参加させていただく機会をいただきました。 作業療法士が得意とする集団を対象としたアプローチや社会心理面の評価など介護予防に寄与できると実感することができました。
 
そのまま日本福祉大学大学院医療・福祉マネジメント学科に進学した後、「自分の地元ではまだまだ本来ありたかった生活が歩めていない人が大勢いる。予防も大切であるが、望む場所で生活や看取りができることもリハビリテーションの一環である」と考えました。 そこで2011年7月から退院支援や地域連携を行っていた看護師の母と「訪問看護ステーションおおた」を開業しました。 当事業所の訪問看護は戦略としては「笑うせぇるすまん」ではないのですが「スキマを埋める」をテーマに、在宅看取り希望の悪性腫瘍患者や進行性の神経難病、人工呼吸器を使用する重症心身障害児など受け入れが簡単でない方を主な対象としています。
 
そのため終了者と新規依頼が多く現在の利用者は約80名であるにも関わらず4年弱で350にID番号が達するという事業所となりました。 重症者の在宅療養・療育を支えるためには訪問看護だけでは十分ではないとの想定があったため、会社設立時の定款にある重度要介護者を対象とした療養通所介護と重症心身障害児を対象とした児童発達支援事業「レスパイトステーション安あん(建物も事業所名も共通)」も2014年7月より開所しました。 専門学校時代はダメ学生であった私を温かくご教授いただいた先生方のおかげで自分が本当に行いたかったリハビリテーションを現在は行うことができるようになりました。 おそらく今の自分の頑固さがあるのは専門学校時代の個性あふれる先生方のおかげであると感謝しております。 卒業して15年が過ぎ、高浜専門学校は閉校しておりますが、私は今も出身校を聞かれた際はまず「日本福祉大学高浜専門学校です。ご存じない?福祉と医療、人と社会を学べたいい学校でした」と答えています。
 
医療と福祉の地域包括ケアシステムへの転換がスタートした今の時代に必要な医療モデル・福祉モデルだけでない総合的な視点から考えられる人材が日本福祉大学高浜専門学校では育っていたと自負しております。 ぜひ皆さんも地域に出られる・求められる介護福祉士、作業療法士であってください。頑張りましょう!

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